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インターネットなどで、アメリカの永住権について検索をかけると、「観光で(ビザなしで)アメリカに入って、永住権を申請したらすぐもらえました」というような内容のHPを見つけて読み、「なんだビザなんか取らなくてもアメリカで結婚して永住出来るんだ」と思ってしまう人もたくさんいるようです。また、「観光で入って結婚するのは違法だって知っていますが、そうやってる人もたくさんいるんですよね?どうやったらいいのですか?」というご質問も非常に多いです。
しかし、これについて、どの部分が違法なのか、この方法にはどのようなリスクがあるのか、知らない人がほとんどです。うっかり人のまねをして、取り返しのつかないことになってしまったケースも多々ありますので、ここを読んでよく考えてください。
まず、違法となるのは次の2点です。
- 結婚目的でビザ免除制度を使用してアメリカ入国すること
- 定められている90日の滞在期間を超えてアメリカに滞在すること
観光で入ってアメリカ人と結婚する、ということ自体は違法ではありません。詭弁のようですが、結婚目的でビザ免除を使い、「観光です」と偽って入ることは違法ですが、実際入ってしまい、観光中に恋人と結婚する、というのは違法ではないのです。ただ、結婚したからといって、90日を超えてアメリカに滞在すると、これまた違法になります。
◆ 以下に、詳しい説明をしていきます。
まず、結婚目的でノービザ渡航をするのは「違法」です。 なぜなら、ビザ免除で入国できるのは、「90日以内の観光・商用」の場合のみだからです。どんな理由であれ、ビザなしで永住目的で入国するのは、移民法に触れています。
どんなビザでも、米国入国に際して、入国審査官に入国の理由を聞かれます。あなたがビザ免除制度を利用してアメリカに入国しようとしているのならば、審査のときに、「これから結婚するんです〜〜」などと口走れば、入国拒否されます。問答無用です。友達も日本から来てくれてて、結婚式の準備も、主役の登場以外は整ってるんです、なんて懇願してもダメです。
もしそこで「観光です」といってごまかそうとした場合、うまく通れた場合はいいですが、万が一入国審査官に止められ、永住目的という事実が判明して(別室に連れていかれて、本当に何から何まで、荷物の中から身につけているものまで調べられます。泣き落としも説明も通用しません)入国拒否・強制送還になっても、あなたは入国審査官に異議の申し立てができません。
なぜ異議の申し立てができないか。それは、あなたが入国の際に提出したI-94Wです。緑の細長い紙の裏に署名しますね。そこには、移民局の入国審査官の決定に対する抗議申立ての権利を放棄します、という文が書いてあります。そして、あなたはそこにサインしているからです。アメリカでサインをするというのは、日本でいえば判を押すのと同じ。ちなみに、白のI-94(ビザ保持者用)にはそういった文にサインする項目はありません。
そして、あなたの入国拒否の事実は、INSに記録されます。そうなると、ビザ免除を利用することはできなくなります。また、強制送還された後に、アメリカ入国が禁止されたり、新たに合法のビザを取るのも難しくなるかもしれません。
実際入国審査で止められることはあまりないようですが、もしものシナリオは否定できません。そしてそうなった時に後悔してもちょっと遅いのです・・・。
ビザ免除にこんな落し穴があるとは知らず、彼に会いにアメリカに行った方からのお話です。このかたは、結婚をしようとか、永住をしようという気はなかったらしいのですが、I-94Wの入国の目的には観光と書き、入国審査を通ろうとして引っかかりました。別室送りになり、荷物もすべて捜索されたそうです。そこで、アドレス帳に彼や彼の友達の住所を書いてあるのを見つけられ、この人は誰か、と問い詰められたそうです。
さらには「知人訪問は観光では無い」と言い切られ、入国時に審査官に虚偽の申請をした、ということになってしまったそうです。
そして、移民国籍法212(a)(6)(c)という、虚偽申告者は永久に入国不許可を適用されてしまい、この方はもう2度とアメリカには入国できなくなってしまいました。これには移民局に決定を取り下げてもらう為のWaiver(決定の撤回)の申立てをしなければいけません。その可否権限はアメリカ司法長官だけで、否決の不服申立ては一切出来ないそうです。
この方はもう2年半も彼と遠距離恋愛を続けながら、この決定と戦っています。今回は帰されるだけ、とか、後でビザとればまた入れるのよね、とか、そんな甘いことではないそうです。ビザもとれず、アメリカにも入れず、決定の撤回の申立てをしたくても、べらぼうな弁護士料や、「もし申立てても、入国禁止の決定が撤回されなかったら、もう一生アメリカには入れない」という恐れから、なかなか次の一歩が踏み出せなくなっているそうです。
彼女は犯罪者でも、不法滞在をしたことも、なにもないごく普通の日本人女性だそうです。自分がこんな目に遭うなんて、全く思っていなかったそうです。
◆ ビザ免除で入国した後に、運命の人と巡り会い、そのまま結婚するケースもありますし、法律でもそのようなケースには永住権の申請を認めていますが(移民および国籍法第201条(b)に、アメリカ市民の配偶者は資格の変更申請が出来ると書いてあります)、その場合は、相当面倒なことになると思って間違いないです。アメリカのINSをよく知らない方のためにアドバイスしておきますが、日本のお役所が親切なセールスマンかばりばりのビジネスマンに見えてしまうくらい、INSのお役所仕事は遅くて不確実で当てになりません。
I-94Wにかかれた滞在期限を越えて滞在をしてしまえば、立派な不法滞在になります。それは、法的にアメリカ市民の配偶者になっても、関係ありません。アメリカ国籍をもっていない以上、何らかのビザ、もしくは滞在資格をもっていなければ、不法滞在とみなされます。
そうなるまでに、永住権の申請を始めてA#(エイリアン・ナンバー:外国人番号)を取得してしまえばいいのですが、結婚式に、健康診断や予防接種、指紋採取、相当腹をくくらないと滞在期限内に申請をすることは難しいです。
もしも合法滞在期間内にI-485の提出が出来なかったどうなるか。運悪く厳しい移民局が管轄のときは、受け付けを拒否されることもあります。I-485にはっきりと、「不法滞在者はこの書式を提出して永住権をとることが出来ない」と書かれています。多くの場合大目に見てもらえるからといって、あなたも大目に見てもらえるかは分かりません。
しかも、書類の申請は、現在多くのINSで「提出は郵送のみ」になっているそうです。そして、移民局内で「ファイルとなって処理がはじまった時」に、初めて「永住権の申請をした」ということになっているそうです。「自分が書類を期限内に送った」「管轄のINSに書類が期限内に到着した」というのは、期限内に間に合った、ということにはなりません。
そして、間に合わなければ、それがINSのせいであろうが、あなたの滞在歴には、不法滞在期間が発生してしまいます。
詳しく説明しますと、永住権の申請が受理されると、A#を取得することになります。INSによっては、ファイルとなって処理が始まるのに時間がかかって、A#をなかなかもらえないこともあるそうです。つまりは、申請書類は送ったものの、処理は始まっていない「書類はまだINSの棚の上」状態が長くかかるオフィスだと、処理が始まる前に不法滞在になってしまう可能性は大きいです。 そして、このあと行われるI-485の処理が始まるまでは、あなたは不法滞在のままです。
この期間が後から永住権を申請中に問題なる(永住権のプロセス上)事はあまりないそうですが、その期間に何かが起って合法滞在を証明する必要に迫られた時に、「すでに永住権申請書類を郵送(提出)はしているが、処理がはじまっていないだけ」という事実を認められない場合が生じるそうです。 INSにしてみれば、処理が始まっていなければ「該当者は当管轄にはいません」と回答することができるそうです。
交通事故に巻こまれて、警察に名前や滞在資格を追及され、「現在は不法滞在じゃない、申請中だ」といっているのにビザがないことで強制送還だとおどされ(移民法はころころ変わるので、警察官はたいてい事情を把握していない場合が多い)、弁護士を慌てて雇ったという方もいます。
◆ それならば、観光で入国して、すぐに結婚、永住権の申請を始めれば、90日以内にできるのではないか?と思う人もいるかも知れません。婚約者ビザで入った場合も、入国から永住権申請までの猶予期間は90日ですから。ところがそうはいきません。これは移民弁護士の間では有名な60/90日ルールというものなのですが、ビザ免除で入ったときは、60日以内に結婚・永住権申請をするのは危険である、というものです。
つまり「観光ですと言って入ったのに、入ってすぐ結婚、永住権申請をするということは、最初から永住権申請をすることを考えて入国した、つまり“観光です”と入国審査の時に嘘をついた」と移民局にはみなされる危険があるわけです。入国審査の時に嘘をついたとみなされて何が悪いのよ、もうアメリカに入って結婚しちゃったんだからいいじゃない、なんて思っていたらひどい目に遭います。というのも、移民局は、あなたに「詐欺罪」を適用することができるからです。詐欺罪とみなされたらどうなるか。法治国家で犯罪者はどう扱われるかを考えたらすぐ分かりますね。先に書いた緑のところをもう一度読んで下さい、と言うまでもなく明らかです。
(ちなみに、ビザ免除だけではなく、観光ビザや学生ビザなどでも扱いは同じです。非移民ビザというのは、婚約者ビザ以外は「結婚は目的ではない」というのが大前提ですから、有効ビザで入ったとしても、入国から60日以内に結婚するのは危険な可能性がありますのでご注意)
つまり、いくら「みんなやってることだ」「多分大丈夫だよ」「見つからなければどうってことはない」という意見が多かったとしても、罪に問われないように行動するには、60日は結婚や永住権申請などの行動は起こさないのが無難なわけです。ということは、実際手続きができる期間は30日。そこで結婚、健康診断、指紋採取、扶養証明……そしておなじみの山のようなファイルに移民局通い。大変ですよ。
◆ しかも、これら永住権の申請をしている間に、不法滞在期間が生まれた場合、日本に帰ることが出来なくなります。というのも、不法滞在者には「再入国許可(アドバンス・パロール)」が下りないからです。合法に永住権を申請している人たちは、再入国許可をとってアメリカを出国することが出来ますが、ビザ免除から永住権の申請をして、不法滞在の期間が生まれてしまった場合は、不用意にアメリカを出国することはできません。アメリカを出国したが最後、不法滞在していた期間を計算され、それに応じて再入国を拒否(3年、10年)されることになります。
また、永住権が下りるまでは、あなたはアメリカに滞在できても、非常に不安定な状態であることも忘れないでください。もちろん就労許可が下りなければソーシャル・セキュリティ・ナンバーも下りません。つまり、車の運転も、働くことも出来ないのです。管轄のオフィスが理不尽にも就労許可申請の書類を無くしたりなどのトラブルがあったら、ひたすらひっそりと、いつ来るか分からない面接の順番を待たないといけません。一年からひどいところでは三年近くも、こういう状況を余儀なくされている人もいます。
◆ 裏技を使ってINSを出し抜いたつもりで、結婚前の数カ月、早く一緒に過ごせて得した気分になっても、これらのリスクを考えると、必ずしも簡単な方法だとは思えません。トータルでかかる物理的・精神的な負担は、こちらの方が大きいとも言えます。
観光と偽ってもなにも質問されずに問題なく入国出来る場合もあるし、INSによっては、さほどの苦労もなく申請が通ったり、一日で就労許可が下りたりする場合もあるそうです。しかし、周りの人がそれでうまくいったから、友達が大丈夫だといったから、あなたも大丈夫という保証はどこにもありません。
また、もう一度繰り返しますが、このやり方は違法です。現在は、ビザ免除で入国した場合でも、永住権を取得してしまえば、移民としてアメリカに永住することを認めてもらえていますが、移民法はいつ変るか分かりません。最近移民法は、信じられないくらいしょっちゅう、厳しい方向に変っています。そして、もし法律が変ったとき、このような不法滞在の経歴が、どうマイナスになるか全く分かりません。
日本で出来るだけの手続きをしていった方が、言葉や習慣の違いのあるアメリカで苦労しながら書類仕事をし、永住権をとった後も移民法のことをつねに心配して生活しなくてもよくなります。特別な事情がない限り、渡航ビザをとり、あくまでも「合法」の道をとることをお勧めします。そして、合法の道がどうしても取れない場合も、これらのリスクについて、しっかりと頭に入れておいて、これから一生住むことになるかもしれないアメリカでの生活に、支障がでないように気をつけてください。
また、「ビザ免が違法だとは知らずに来て、こっち出結婚して永住権を申請した」という人から、こんなお話を頂きました。
ビザのことは何も知らなかったのでもちろんビザ免除で、アメリカに来て永住権をしたそうですが、どんな情報を探しても全然意味がわからず、大使館にアメリカから相談したりして(もちろん)冷たくあしらわれてしまい、仕方なく移民弁護士さんを雇われたそうです。
結果として、待ち時間を待って永住権のインタビューを受け、スタンプをもらうことが出来たのは出来たのですが、この方のインタビューでは、本当にものの見事に鋭く、痛いことをつっこまれたそうです。
元々の入国の目的から、入国日、審査官にきかれて何と答えたか、結婚式の日、場所、アメリカでのアプライの意志があったかどうか、証拠があるかどうか……それから出会った状況とそれからの進行を、時系列で聞かれることになったそうです。
幸い、入国のときはすごい入国審査が混んでいるときで、本当に何もきかれなかった(ので、嘘をついて入る必要もなかった)し、日本できちんとアプライしよっかなあなんて考えて、ご主人と飛行機の予約をいれてみたりしていた確認書と、一応取っておけといわれ買っといた往復の帰りのチケットを持っていらっしゃったので、それを「嘘をついてきたわけではないし、最初から違法行為をするつもりではなかった」という証拠として出したそうです。
面接官は意地悪で聞いているような感じの人ではなかったので、結局はネチネチとはやられずにすんだそうですが、ご主人も「だめだ〜」と思ったそうです。通常、婚姻ベースの永住権申請の面接は簡単で、2、3の質問ですむともきいていたので、びっくりされたそうです。ちなみにこの方はLAのオフィスでした。
この方の教訓として、「ビザ免除は本当にあぶないです。私たちも証拠がなかったら、どうなってたやら・・・ちゃんとしたビザがあれば、もしくは日本でやってれば、なんてことはなかったのに・・・もし、だめでも文句は言えない立場でもありますしね。私としては私のように肝を冷やす人が少なくなることを願ってます。夫婦の仲も悪くなるし(私は結構、実際インタビュー前にびびっていたから)それにLAでは条件削除のときにできるだけ、面接しようという動きがあるそうで、(確かではない)そのときに同じことを答えて、パスするという確信はないわけです。せめて、来てから60日以降に結婚するということ(もちろん私たちはそんなことを言ってもう、遅いのですが)とその前に危ない橋はわたらないということが大切だと思います。」
というお話でした。本当にビザ免で渡米しての永住権申請が、楽でいいものなのか?というのを、よく考えてみましょう。
ここまで読んでもどうしても!って思われる方もいるでしょうね。また、これしか方法がないという事情がある方もいらっしゃると思います。その場合は、有効ビザからの資格変更にある手続きに準じて行って下さい。