サブウェイ編

この前、サブウェイ(アメリカによくあるサンドイッチ屋さん。最近は日本にもあるそうな)に、サンドイッチを買いに夕方、あれっくすと一緒に行きました。で、デトロイトのダウンタウンにあるサブウェイだから、すごいのです、防弾設備とか徹底していて。なんか刑務所の面会みたいな状態になってて、窓越しに何を挟んでもらうのか注文するの。窓に空いてる丸いあなあなから、ハムとレタスとトマトと・・・って感じで会話するわけで。ここ、昔は怖くて入れなかったんだけど、もう最近はとなりのビデオやさんでビデオを借りた帰りに、ときどき買ってるのです。

サンドイッチは防弾壁の向こう側で製造されていて、お金を払わないとて渡してもらえない。渡してもらうときも、ドアが向こうとこっちについてる、二重になっている箱みたいなのに入れるの。それで向こう側のドアを閉めると、こっちのドアを開けることが出来るようになっててそれでサンドイッチを受け取れる、と。これは、デトロイトは郵便局やケンタッキーフライドチキンでもこのやり方で、絶対にホールドアップにあわないようになっています。お金を払うところも、間の防弾壁は一番下まで続いていて、その下のカウンター表面が少ししたに削れているようになっていて、そこにお金を滑らせて向こうに渡すようになっています。アメリカの銀行など知ってたら分かるかな?銀行と同じ感じです。

で、そのときなのですが、サンドイッチを作ってもらった後でお金払うところで、すっごく詰まってるのを発見したのです。私たちの前が外国人(多分ドイツ人?と思われる)の男の子二人で、その前が背の高いかっこいい黒人のお姉ちゃんで、その前が太った黒人のお母さんみたいな人なんだけど、全然進まない。で、しばらくぼーっと待ってたんだけど、あまりにも進まないから、みんな一体何が起こってるのか?って前を見たりするじゃない。でも良くわかんない。

そんでそのうち、お母さんが「分かった分かった、それでいいからサンドイッチ渡して」みたいに大声で言って、ぷんぷんしながら出ていった。で、みんな一体何事?って思って前に注目して、全員、耳ダンボ状態で、会話を聞こうとする。でも、例の防弾壁のせいで、向こう側の声が聞こえにくい。で、次の女の人は「もう遅れちゃうからさ、頼むよ〜」と言ってるのが聞こえたので、私はてっきり、割引クーポン券とか、あるコンビネーションで注文すると安くなるとかのでもめてるのかと思った。混んでるんだから、そんなの使うなよ〜、なんて内心思ったりして。で、そのお姉さんも何だか5分くらいもめてて、一体なにこれ?って思ったんですが、サンドイッチは既に作ってもらってあるし、今さらもういい、っていう風に出ていける状態じゃない。

それから、お姉さんが出て行った後に、前の二人がお金払うのをじーーーっと見ることにした。なんでこんなに時間がかかるのか?と思うのが、普通の心理状況でしょう。前の二人は、二人で一つのチキンブレストを注文しただかで、4ドル49セントだったらしいのです。で、一人が5ドル札を出した。そうしたら、「サンドイッチ・アーティスト」とかかれたポロシャツを着た30代くらいの黒人の男性のレジの人が、「はぁ〜〜い、次の人〜〜〜3ドル17セントね〜〜〜」って声をかけた。その声を聞いてぱたは思った。おっさん酔ってんのか?

また、このドイツ人(か知らないけど)がくそまじめに「いや、僕はチキンブレストだったから4ドル49セントだ」って訂正した。そうしたら、サンドイッチ・アーティストは30秒くらいかたまって、そのあと、「4ドル49セントから〜〜〜3ドル17セントを引いたら〜〜〜いくら〜〜〜」って歌いながら、レジにそう打ち込んでいくのである・・・!!で、「はい〜〜、1ドル32セントのおつり〜〜〜」っていいながら、そのおつり(?)をドイツ人に渡した。が、納得できないことには食い下がる気か、ドイツ人、「そうじゃなくて、僕のサンドイッチは4ドル49セントだから、そこにある5ドルを払ったんだけど」っていう。ぱた内心、やめとけ〜と思う。「5ドル?いや、3ドル17セントだよ〜〜〜」って言いながら、とろーんとした目でこっち見るサンドイッチ・アーティスト。

もうそこにいた全員、すかさず気づいたと思う。このレジの男、連邦法で禁止されている例の何かの影響を受けているな・・・って。私でも気付いた。

で、同じくそれに気付いたドイツ人が、「じゃ、それでいいからそこのサンドイッチ、こっちに渡して」って言った。いや、気持ちは分かるよ。前のお母さんやお姉さんも同じように感じたのでしょうね。そうしたら、ドイツ人が出した5ドルをサンドイッチ・アーティストは握りながら、「このお金はなに〜〜?」って聞く。で、「そのお金はサンドイッチ代、だからサンドイッチこっちにちょうだい」ってもう一人のドイツ人が後ろから声かけたんだけど、サンドイッチ・アーティストは、「あ、じゃ〜〜〜おつり出さないと〜〜〜」って言って、レジにむかってピポピポめちゃくちゃの数字を打ち込んでる。なーにーをー、やってんだこのおっさん!と思っただろうなあ、ドイツ人君。私もそう思ったよ。

さすがに、ドイツ人「おつりいらないからサンドイッチ!!(ドイツ語だかで、ファック!といったかのような単語が入っていた)」って言ったんだけど、もうこの時点で、サンドイッチ・アーティストは、レジの小銭を数えるのに一生懸命でドイツ人の言うことなんぞ聞いていない。そこで、見るに見兼ねたもう一人のドイツ人が、「じゃあ、ここに17セントあるから、さっきの5ドルと足して、2ドルでおつりちょうだい」って言ったのですよ。また、そんなややこしいことこの人に言ったらわかんなくなるよ、と、そこにいた全員が思ったと思う。

もちろんサンドイッチ・アーティスト、「???」ってなっちゃって、「2ドルね?2ドル。2ドル。2ドルってなんで2ドル??」って繰り返してる。で、二人目のドイツ人がポケット中を探して3ドル見つけた。で、「はいここに3ドル17セントある!おつりいらない!ぴったり!だからさっきの5ドル返して、サンドイッチちょうだい!」って言い募る。

そうしたら、またサンドイッチ・アーティストは30秒くらいかたまって、「あなた、さっきおつりいらないって言って、2ドル返してって言って、5ドル返してっていって、またおつりいらないって言ったね〜〜〜はっきりしなよ〜〜。だーかーらー・・・はいこれ」っていいながら、もともとそのドイツ人が出した5ドルと、レジからだした2ドルをこっちに渡し、「それからー、サンドイッチ〜〜」って言って箱の中に入れて。ドイツ人が出した3ドル17セントも「これなに?なんでこんなの出すの?もうわかんなくなったよ、君達の話は〜」といいながら、突き返している・・・ドイツ人二人とも、ボーゼンと突っ立っていて、二人とも無言。わたしゃ、もう吹き出す寸前。

その瞬間、二人目のドイツ人と私、目が合った。もう私さー、耐えきれずに「もういいからとっちゃいなよ。いいよ、これ以上」って小声で言ってしまったよ・・・あれっくすは吹き出すし、後ろの人も爆笑だよ。で、二人とも「サンキュー」って言ってお店でてったの(何たって、ただでサンドイッチもらった上に、2ドルお駄賃もらったわけだし)。そしたらさー、サンドイッチ・アーティスト、自分が笑われたと思ったのか「なんなんだよ、あいつら〜〜〜、もう俺辞めた、この仕事!バイバイ!」っていって、エプロンを取っちゃうんだもん。そんで、あれっくす、意外と冷静に「少なくとも辞める前に、僕たちにそこのサンドイッチくれよ」ってコメントし。「あ、そっか〜〜、サンドイッチいるよね〜〜はい、3ドル17セント!(私たちのは3ドル70セントだったのだが・・・)」

私たち、ドイツ人がもめている間中、ポケットをひっくり返して、きっちり3ドル70セント用意してたのですよ。で、「はい、これできっちりだから、あなただそこにあるサンドイッチを箱に入れればいいから」ってあれっくすが言ったんだけど、「えーっと、ここにあるのは3ドル70セント〜〜〜、ちょっとまってね、おつりだすから〜〜〜」というわけで、また儀式を繰り返す。おつりをもらうのに5分くらいかかって(それをじっと耐えた私たち・・・っていうか、腹がよじれるほどおかしくて、この成り行きがどうなるのか見届けたい気持ちで一杯)、「はいこれ53セント」ってくれたんだけど、なぜか81セントあるの。もういいやと思ってもらっといたけど。

で、「ありがとう」って言ったんだけど、サンドイッチ・アーティストはサンドイッチくれるの忘れて、「どういたしまして」って言ってにこにこしてるのです。で、「サンドイッチ〜〜〜〜!」といっても「ん?何?」という返事。「だから、そこにあるサンドイッチ、僕のなんだよ」ってあれっくすが言うと、「あ?これ?これあんたの??そりゃー悪いことした。いま渡すね〜〜〜」って言いながら、すっごいスローモーションで袋に入れてくれました。お店に入ってから、出るまでに、まさに30分以上かかっていました・・・全然ファースト・フードじゃない!

で、もっと怖かったのが、そんなにレジの人がイっちゃってるのに、サンドイッチを作る係の人はしらーん顔してることです。あれは彼の仕事、これは私の仕事、なのでしょうね・・・あそこで何回も買い物してるけど、こんな場面に遭遇したのは初めてだったんで、ぱたはびっくりよ。あれっくすは「オーマイガー、オーマイガー」って涙目になって笑ってるし。まるで、テレビのコメディショーを実地で見ているみたいだった・・・

レジの人、あそこで私の後に待ってた人がサンドイッチを手に入れるところまでレジを打てたのか、疑問でした。どっちにしろ、マネジャーが来た時点でくびになったとは思いますが。いやー、日本ではおろか、ちゃんとしたアメリカでは絶対にお目にかかれない「病んだアメリカ」を垣間見たような気がしました。


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