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題名見たら、面白い話か?と期待させるようでいて、ちょっと真面目な話です。
なんか日本って、マザコンってのをものすごく敵視してますよねえ。「なんで彼と別れたの?」「実は私の彼、マザコンだったの」とか、「信じられな〜い、結婚して初めてマザコンだって知ったわ」「あ、それで離婚したいのかあ」とか。でも、何となく最近、そのマザコン、って言葉に皆さんが踊らされてるんじゃないかなあ、という気がするのです。
というのもですね、こっちに来てすぐに思ったんですよ、「アメリカの男の人ってちょっとマザコン気味」って。大学時代に友達になったアメリカ人の男の人って、結構「お母さんが好き」って人多いんです。で、それを堂々と言うのですよ、例え彼女の前でも。今度感謝祭でお母さんに会える、とか、お母さんに電話したらどうこうだった、とか嬉しそうに話したり。10-20代くらいの(日本じゃ、親なんてうるせーよ、っていうような年代)、ごく普通の男の子たちですよ。
初めてあれっくすのお家にお呼ばれしたときに、あれっくすのご両親と会うってことでちょっと緊張気味のぱたに、あれっくすが、ものすごく自慢げに「うちのママはグレイト!ほんとにいいママで、僕は大好き!ママもきっと君のことが気に入るよ」って説明してくれたのです。私は「げ!あれっくすってマザコン??」とおびえました、正直言って。だから家に行ったときに、ちょっと注意深く観察してしまいました。そしたら、あれっくすも、あれっくすの弟も、お母さんのためにさっと手伝ったり、荷物を持ってあげたり、料理を運んだり(お手伝いをしている、っていう風じゃなくて、ほんとに自然に)。それで二人とも「うちのママってすごいだろ?」って私に何回も言うのです。で、お母さんは「サンキュー、サンキューベリーマッチ」ってにこにこしててね。
それで、日本で俗に言われているマザコンの話をあれっくすにちょこっとしたんです。「あれっくすくらいお母さんのこと好き好きって言ってると、日本じゃマザコンって呼ばれるのよ」と。そうしたら、まず「マザコンって何よ」と聞かれた。「マザー・コンプレックス」って言っても「??なにそれ?」と来る。ま、せっかく質問しかけたんだから、と、マザコンの概念についてこうこうこうで、と説明したら、「ああー、フロイトの言ったエディプス・コンプレックスね。よくそんな古い学説知ってるね。男の子が深層意識で父親を憎むのは、自分の愛するお母さんを犯したから、ってやつでしょ?そんなの日本人って信じてるの?」と来ました。アメリカにはマザコン、という概念はないみたいだ。だから、みんな「お母さん好き」って素直に言えるのかなあ、と思う。
で、よくよく考えたら、子供が親を好きなのって当たり前なんですよねえ。そりゃもちろん問題があって、親子間の関係がうまくいってないってのはあると思いますよ、どの国でも。でも、そういう問題がある場合を別にして、お母さんを好きで何が悪い?!って思うんです。逆に、普通に愛情もって育てられて、特にお互いの間に感情的な問題もないのに「おふくろなんて関係ねえよ」みたいな言い方をする男の人の方が、なんだかおかしいような気がします。
で、なんで日本の男の人の多くが、そういったクール態度をとる、というか、母親のことを好き、という愛情表現をしない傾向があるのか、っていうと、実は「マザコン」っていう言葉のせいじゃないかな、って思うんです。お母さんが好きなんて言おうものなら、「あなたはマザコンね!」という集中砲火にあってしまう。だからみんなあえて言わないようにしているのかしら、と(特に結婚したあとなんか)。
でもここで言うマザコンってなに?
もちろんですね、結婚したっていうのにお母さんお母さんで、何を決めるのにもお母さんにお伺いをたてる、妻の立場をないがしろにしたような態度を取る、お母さんの味つけじゃなかったら食べられない!って言って妻の作った物を食べない、っていうのは問題です。でもそれは、マザコンだから問題なのではなく、その男の人が精神的に成長してないからでは?大人になりきれてない、夫婦間(または恋人間)の健全な関係を築くことが出来ない、だから問題なんだと思うんです。なのに、それに「マザコン」という名前を付けてしまったばっかりに、ちょっとお母さんが好き、お母さんのことを尊敬している、っていうのまでもが「マザコン」になってしまうんじゃないかなあ、と。で、そうなると「マザコン狩り」が始まってしまい、男の人がお母さんのことを口に出すことすら、はばかれるようなことになってしまう・・・というわけで、ある現象に名前を付けて分かったつもりになるってのは、実はとっても危険なことなんじゃないかと思うんです。まあ、名前を付けて一般化するのはアメリカの得意芸で、そのせいで精神科医やセラピストが法外なお金をふっかけて儲けられるわけですけど。それにしてもなんでマザコンだけがこんなにも日本で人気があるのだろう。
と考えていて、ふと思いました。日本でマザコンが叫ばれるのは、やはり伝統的な嫁姑問題が関係しているのかもしれない。嫁と姑ってのは、なんでか知らないけど戦争をする敵同士みたいですよね。仲が悪くても、それってよくあること、って感じで。でも、アメリカではそういった「典型的な嫁姑関係」ってのはないみたいなのです。どっちかというと、「夫とその妻の母親」の間では、ちょっと感情的にすれ違うケースが多いらしい。たとえば、あれっくすがうちの母から「To my son」という宛名書きをされたカードをもらったときにものすごく感動して、そのカードを家族に見せていたのです。それで、あれっくすの家族も「よかったよかった。こんな風に言ってもらえるなんて、あれっくすは幸せ者だ」なんて言われてました。まるで日本と反対。逆に、私があれっくすのお母さんと嫁姑関係になるのかしら・・・と心配してあれっくすに相談したときも、「え?なんでうちのママとぱたが仲悪くなるの?」と、全く理解が出来なかったようなのです。
アメリカがいいとか正しいとか、日本人の意識がどうとか言う気は全くないんですが、もしも自分が息子を産むことがあったら、アメリカで育てたいなあ、っていうのが素直な感想です。