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日本でもやってますね、「ER」。NHKでも放送されてるとか。うちの母もビデオで完全フォローしているそうですが、日本語にすると「緊急治療室」つまり、シカゴの病院の緊急治療室で日夜がんばっているお医者さん達のテレビドラマです。いやこれはなかなか面白いですよ、見たことないんでしたら見てみてください。いま売り出し中のジョージ・クルーニーや、「トップ・ガン」でトム・クルーズの相棒役をやっていた人(名前ど忘れ)なんかが出ています。
ってなことをここで言いたいわけではなくて(映画話じゃない〜!)。実はこのER、緊急治療室にお世話になったことがあるのです、あれっくすが。
あるとき、二人で外食して帰ってきて、しばらくしてからあれっくすが、どうも気分が悪いという。私はまた食べ過ぎなんじゃないの、なんて真剣に取り合わなかったのですが、夜半過ぎからものすごい勢いで吐き始めました。わたしゃどうしていいのか分からず、とりあえずあれっくすをバス・ルームに連れていき、背中をさする。「ちょ、ちょっと背中さわんないで、余計気持ち悪い」と言われて飛びのく。おそるおそる後ろから見てると、もう吐くもん全部吐いたかと思えるのに、まだまだ吐く。胃液が出てきましたねえ。嘔吐のプロ、ぱたに言わせるとこれはきつい状態です。
そのうちあれっくす「おなか痛くなってきた。下痢かもしれない。ちょっと一人にして・・・」と力なく言うので、心配しつつもバスルームに一人にしてあげる。その間も絶え間なく吐いているらしい。あとの掃除がどうとかよりも、一体どうなっちゃったのかと心配。ちょっとこれで大変な病気だったらどうしよう。言葉も通じないアメリカで(そろそろ英語に慣れろよ、ぱた)、私があれっくすを支えて生きていくのか?そーっとあれっくすの様子をうかがうと、もう床に倒れて動いていない!死んだのでは?
救急車を呼びたいが、日本の119番は出てくるのにアメリカのが思い出せない(911番です)、頭は混乱する、ああどうしよう。あなたならどうする〜?
この辺の私の記憶は定かじゃないのですが、どうもあれっくすを着替えさせて、自分も着替えて、あれっくすを引きずって車に乗せたらしい。火事場の馬鹿力とはよく言うけど、実際こういうシーンでは力は出るらしい。ちなみにあれっくすはたぶん75キロくらいあると思うな。
で、あれっくすをのっけて、近所の大学病院に行く。大学のそばに住んでいるので、大学病院も目の前だ。でもこの時間(午前一時)には正門はしまっていて、「緊急の方はERにどうぞ」となっていた。ER。あのビデオのやつじゃないのよ。正義感の強いドクターと愉快な仲間たちが、患者のために全力を尽くすってやつでは!と、混乱しつつもなんだかすごいと思いながらそこの門に車をつける。
ドラマみたいに誰かがでてきて何かしてくれるわけじゃないらしい。そりゃそうか。
あれっくすを引きずりながら受け付けに。受け付けには、十指とも5センチくらいの爪にアートカラーを施した受付のお姉さんがいて、熱心に雑誌を読んでいた。見るからに死にそうなあれっくすがお姉さんの前に座る。でもお姉さん無視。あれっくすは口もきけないようなので私が代わりに「夫が苦しんでいるのですが・・・」と言ってみる。お姉さんこっちも見ないで、爪を見たまま「保険に入ってるの?」と聞く。
なんじゃ〜、あんたあ〜!人が苦しんでるでしょ、ここで。爪なんかどうでもいいでしょうが〜〜。
あれっくす、耐えきれずトイレに。また吐いている。お姉さん、それでも鉄仮面。「あの・・・保険、入っています。大丈夫です、払えますから」「彼のソーシャル・セキュリティ・ナンバー(社会保険番号)は?」わたしゃ覚えていないよ。「ほんとに保険に入ってるの?どの保険?」私は彼の保険は知らん。お姉さん、また雑誌に戻る。
あれっくす、戻ってきてソーシャル・セキュリティ・ナンバーを告げる。保険のことをまた聞かれる。何かもめている。お姉さん、首を振る。あれっくす食い下がる。お姉さん、やっとコンピュータのキーボード叩く。お姉さんなんか怒ってる。あれっくすまたトイレに行く。お姉さん雑誌を読む。・・・受付はこんな感じ。ぱたはもうどうしていいのか分からず、トイレと受付をうろうろしている。
とにかく待合室で待て、と言われて待つ。なんだかホームレスみたいな人がたくさんいる。そんでソファでねている。なんだか怖い。話かけられる。小銭をあげる。お礼を言われる。
2時間待つ。まだ呼ばれない。保険のことでなんだか手違いが起こっている様子。あれっくすこれで何度目か知らないけど、トイレにこもる。ぱたは眠い。
やっと呼ばれて診察室に入る。ドクターの診断。「インフルエンザでしょう。吐いたせいで脱水症状がでているので、点滴一本打っておきます。このあと、水分をとるようにね。一時間くらいで点滴終わるから、奥さんその時迎えに来てください」「吐いてるのはどうなんでしょう?」「大丈夫です、じきに収まりますから」
あれっくすの受けた治療は、受付の爪の化け物に邪険にされて、吐きながらホームレスの方達と一緒に座って2時間待って、ぶどう糖の点滴一本打たれて、一時間簡易ベッドに寝かされただけです。
あれっくすが元気になってしばらくして忘れたころにやってきた病院からの請求書を見て、私も倒れたくなりました。
さあ、いくらかかったと思います?アメリカに住んでいるみなさん、にやりとしましたね?日本に住んでいるみなさん、思い切って値段をつけてみましょう。ちなみに、私の日本の友達に同じことを聞いてみました。皆「アメリカって医療費高いんでしょ・・・?1万円くらい?2万円かな?」という答えでしたが。
日本円にして。($1=120円で計算)
18万円です。
病人に力のつくもの食べさせなさい、って言われても、そんなにお金とられた日にゃ、あんた・・・貧乏人は死ねってか。
◆ ちなみに保険は半分以下の8万円分しかでませんでした。理由は緊急治療室は保険でカバーされないから。カバーされたのは点滴代だけです。日本の健康保険と違うのです、アメリカの保険って。例えるなら、車の任意保険のような物でしょうか。病院から請求書が来てから、保険会社と交渉して払ってもらうのです。
アメリカにいるみなさん、あなたの保険もよく確かめておきましょう。あれっくすは保険会社変えました。保険会社側の手違いのせいで、緊急のときにさんざん待たされて難儀したあげくに半分も払ってくれないなんて、水戸黄門にたてついた越後の回船問屋の方がまだいい仕事するような気が。
あとあのテレビドラマ「ER」。あのドラマはシカゴの病院でのみ有効の話なのか?デトロイトの病院はとてもじゃないけど、あんなに親切でも情熱的でもなかったぞ。シカゴに引っ越そうか。