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/ドクター・マリさんからのメールにより詳しく解説/ぱたのたまごの孵化編では、アメリカの無痛分娩の経験をつづったわけですが、おかげさまで「無痛分娩について調べたい」「日本でも同じようにやっているのか?」というようなメールを頂くこともあります。
読んでもらって頂いたメールは死ぬほど嬉しいのですが、何しろ私は医療については全くの素人ですし、ぱたのたまごに書いたものも、あくまで「私の掛かり付けのドクターに聞いたこと」「出産時にスタッフに聞いたこと」であり、何かのデータに当たってそれに基づいて書いたものではないんで、聞かれても「私の時はそうだったんで……よく分からないんで、ドクターとよく相談してくださーい」としか言えなかったんですよね。
しかし、日本で出産される方は、「日本では無痛分娩は余り一般的ではなく、周りに相談すると“普通に産むのが当たり前”としか言われずによく分からない」ようで、ドクターに相談しても、特に理由もなく「普通に産んだほうがいい」としか言われなかった、というお話も多かったです。
で、ここで、たまたまなんですが、ぱたのたまごを読んでくださっていた日本在住のドクター・マリさんが、今回ご懐妊となり、ご自分の出産方法を選ぶに当たって、無痛分娩の是非についての医療論文をいくつか読んで、うちの掲示板にアップしてくださいました。そこで、ドクター・マリさんのお話を引用しながら、ぱたのたまごに書いたことのフォロー(笑)をしていきます。
まずは、
「硬膜外麻酔による無痛分娩が母子に及ぼす影響については未だにこれ、といったコンセンサスが得られていないということが分かりました。」
とのことで、やはり新しい分野のために、これといった統一見解がまた確立されていないんだろうと推測します。また、これも素人の推測ですが、アメリカのように沢山の人が無痛分娩を選択すれば、調査するほうもケース数が多く、案外早く色々な影響について確立した意見が出るのかもしれませんが、やはりケース数が少ないとどうしても調査の結果も、全体に言えることなのか、個々人による違いなのかが分かりにくいのかもしれません。
↑と私見で書いたんですが、後日ドクター・マリさんから訂正を頂きましたので追補です。
分娩時の硬膜外麻酔に対するコンセンサスが得られていないのは日本に留まらず、海外でも同じであるという点です。日本ではぱたさんの推察通り、症例数が少ないのでほとんど研究らしい研究の論文はありませんでした。私が読んだ文献は海外の原著、総説とそれらを元に日本の医学雑誌が総説しているものです。幾つか主なものの出典を記載しておきます。
Halpern SH, Leighton BL, Ohlsson A, Barrett JF, Rice A.
Effect of epidural vs parenteral opioid analgesia on the progress of labor: a meta-analysis. JAMA. 1998 Dec 23-30;280(24):2105-10.Leighton BL, Halpern SH.
The effects of epidural analgesia on labor, maternal, and neonatal outcomes: a
systematic review. Am J Obstet Gynecol. 2002 May;186(5 Suppl Nature):S69-77. Review.Lieberman E, O'donoghue C.
Unintended effects of epidural analgesia during labor: a systematic review.
Am J Obstet Gynecol. 2002 May;186(5 Suppl Nature):S31-68. Review.とのことでして、アメリカでは統一見解がある、というわけではなかったようです。読み方が浅くて申し訳ありませんでした。いやいや、そうでしたか。症例が沢山あっても、なかなか「これ」と決めるのは難しいのですか……
結局これらの研究で硬膜外麻酔が分娩に及ぼす影響ははっきりとは分からなかったのだけれど、アメリカの産婦人科学会は「分娩は多数の女性に苦痛をもたらす。その苦痛に耐えざる得ない状況を除いて、医師の管理下に安全な除痛処置が行われるべきである。もし医学的な禁忌がないのならば産婦の無痛の要求はどんな時期でも医学的適応である。」という声明を2002年に出したという運びです。そしてこれらを踏まえて硬膜外麻酔を薦めるか、薦めないかはそれぞれの医師の判断に委ねられており、更に妊婦が最終的に判断を下すというのが現状でしょう。
なるほど。そこで、アメリカは勧める、日本は勧めない、という傾向があるわけですね。
あとちょっと思うことは、アメリカの医師というのは「サービス業」的で、自分たちはこういう専門知識を使った技術を提供する、値段はこれだけ、他のドクターにも聞いてみてもらっても構わない、見積もりはこれこれ。っていう感じですから、例えドクターAが強く勧めても、いやー私はちょっと。って言ったり、あなたと全く反対意見のドクターBの方の勧めに従いますので病院変えますから紹介状書いてください、とか言えるじゃないですか。だから、「妊婦の決断」っていうのを通すのが容易ですが、日本はやはり「先生のおっしゃったこと」という印象が、診察を受けるほうにどうしてもありますから、「麻酔は勧めない」と反対されると、やめちゃおうか、お医者様にいわれたんだし……って思っちゃいますよね。
というわけで、ここまでが追補でした。本筋に戻りまして……
「無痛分娩は吸引分娩の発生率を上げる、帝王切開の発生率を上げる、分娩時間を延ばす、母体の発熱が増える、母体の膀胱麻痺を生じるリスクがある、などが大体言われていることのようですが(←これは、アメリカでもチャイルドバースクラスに出席すると説明があります)これらに対する反論も多く何が正しいのかはいまだに良く分かってないようです。」
ここで思ったんですが、「母体の膀胱麻痺を生じるリスクがある」これって、私が出産直後にじゃじゃーとやったやつ(ぱたのたまごの孵化編を参照)でしょうか?(笑)もしかして、あの事件は別に珍しいことではなく、論文にも言及されるほどに事例が多いんでしょうかねえ。だとしたら、私の病院で「お漏らし」扱いされたのは、いわれのない言い掛かりだったのか……悔しいぞ……
「お産の痛みは痛みの分類の中でも最高級に分類されてました。ぱたさんのお産記録に書いてあったラマーズ法など、お産痛を緩和させために種々の方法が取られているようですが、結局お産痛に対する恐怖心を出来るだけ取り除かせたり、痛くないと自分に暗示をかけるのみで痛みそのものはどうやっても緩和できるものでは無いようです。」
むぅ。やっぱり、ラマーズは嘘吐き。というのは、私の新発見でも何でもなく、「そりゃそうでしょ」だったんですね。うー。じゃあ、陣痛に対する恐怖心を毎7分、Gショックを見ながら更新してた私は大ばかちゃんだったんですね……
皆さま、陣痛の間隔は「時々」計るので十分ですよ。私みたいに間抜けにも毎回計って痛みを増大しませんように。
しかしまあ、私は陣痛中に「ラマーズの嘘吐き!」とか心の中で悪態をついてたんですが、それって結果として「ラマーズをののしる」という作業により、陣痛から多少気をそらしていたのかもしれませんね(笑)
「ちなみにラマーズはフランス人男性医師で、それが1970年代アメリカで普及してアメリカ経由で日本に定着したそうです。だからアメリカンスタイルラマーズ法。」
なるほど、フランス発、アメリカ経由なのですな。私がののしっていたラマーズ医師は、おフランス野郎だったのか。知ってたら、ののしるときの具体的イメージも違ってたかしら、とどうでもいい事を考える。
それにしてもフランスのオリジナルラマーズ法はどんなのだったのでしょうか?それによっては、ラマーズ医師も私ののしりを聞いて「いわれのない言い掛かりだ!」と反論するのかもです。でも、これを読むと日本でやってるラマーズ法は、アメリカのものと同じなんでしょうねえ。配偶者と一緒にひっひっふ〜ってやつっすね。
「お産後のアンケートでラマーズ法は効果なし!とする褥婦さんが多く、硬膜外麻酔の選択肢があるとラマーズ法のトレーナーの制止を振り切って麻酔を希望する妊婦が続出し、ラマーズ法の効果を判断する為の調査がなかなか出来なかったと書いてありました。(これはアメリカでの話)」
はっはっは、この気持ちは非常によく分かりますなあ。トレーナーに何を言われようが、イヤ制止されればされるほど「あんたが産むんじゃないでしょ、こいつ!」と憎しみしかわき起こらないんでしょう。そして、麻酔医への恋に落ちる(笑)と。
「他にも日本の施設では大抵は行う浣腸の不要論、剃毛不要論、会陰切開不要論などが載っており、フムフムと読んでみました。要は必要な時に必要な処置を行えばいいという結論でしたが、助産婦さんなどのスキルがある程度揃って高くないとこれらの処置はルーチン化せざるを得ないのが日本の病院の現実なんだろうなと感じました。」
だそうで、確かに浣腸も剃毛も会陰切開も、私の産院では「必要なし」とされてましたね。助産婦さんやスタッフのスキルがそろって高かったのだろうか?というか、アメリカでは不要という考えのもとにチームの教育をするんで、それように訓練された人ばかりなのかもしれませんが。この辺はほんとーにその病院&ドクターの考え方次第なんでしょうねえ。
日本のたまごクラブでは剃毛はともかく、浣腸と会陰切開は「大切なことなので、例えイヤでもドクターの言う通りにしましょう」って感じで書かれていましたが、絶対に必要なこと(しないと産めない)、ではないんですね。だまされたらいかんぞぉ。でも、ドクター・マリさんが書かれている通り、沢山の妊婦さんをどんどん捌いていく病院側からすると、個々人について色々変えるよりは、ルーチン化して大きなトラブルがない方を選択するのは当たり前かもしれません。どちらにしても、日本もあと数年もしたら「必要なし」となる病院も多いのではないかとも思ったりします。
「それから胎盤の娩出などのいわゆる後産では、無麻酔で手やカンシで娩出を助ける操作を日常的に行っている病院があるようですが、これまたすごい痛みだそうです。」
私は麻酔が残っていたせいで、全く知らないままに後産終ってました……でも、ちゃんと記憶しときたかったのでちょっと残念。ちびに気を取られたのが失敗でした。(っていうか、ふつうはそうですよね。産まれた我が子よりも気持ち悪い内臓器官の方に気を取られてる図はいただけませんな)
最後に、
「そうそう、無痛分娩を選択した女性は女として落伍者であるという自責の念にかられ、自然分娩をした女性は今後待ち受けている多くの困難に立ち向かえる自信を身につける傾向にある、なんて記述もありました。それで無痛分娩した人には心のケアが大切なんですって。そんなこと医学雑誌に載せて発表するなって感じです。」
というお話が。
なにぃ、麻酔をしたら女として落伍者だという自責の念にかられる女性がいるのか?なんかそっちの方が驚きなんですが……だって、女性だろうが男性だろうが、人生には色々な試練がありますよ〜!出産だけが女性の一大事業じゃないっす。失礼な。そこで最後の数時間ちょっと麻酔したくらいで、今後待ち受けてる困難に立ち向かえなくなるなんて、女をなめてませんか?これを書いたのはきっと男性医師でしょう?(笑)という憤りは置いておいて、そういうふうに記載があるということは、やはり日本ではそういうことが観察される、ってことですよね。私が思うに、それって、麻酔をしたか/しないか、ということよりも、
周りが「あの人は麻酔して産んだから母親失格よね」「あれじゃあ、今後困難なことがあっても、楽なほうに逃げようとするんじゃないかしら」なんて悪口言うからじゃないか??
と思うんですが、どうでしょうか。イヤ、実際日本では、まだまだ無痛分娩を選ぶ女性に「何故普通に産まない」「みんなやってるんだから」というふうに再考を促す傾向がありませんか?私も実際に日本の友達に「無痛分娩で産んだよ」といったところ、よかったねー、というようなポジティブな感想以外にも、「最初から自然分娩で頑張る気がなかったの?」というニュアンスの感想をもらったこともあります。私の場合、こっちから「無痛で産んだ」と言わなければ特に根掘り葉掘り聞いて待て批判する人もいませんでしたし、何と言われても「でもアメリカじゃあこれが主流だからさ」といって気にならなかったんですが、日本で産む人はかなりの風当たりがあるようで……
「陣痛から逃げるなんて、母親になれない(←だから、無痛分娩を選んでも子宮口がある程度開くまでは待つんだから、陣痛はじゅーぶん感じてる)」「麻酔されて産むなんて、産んでる実感がないんじゃないの?(←産むときは麻酔は減らされるんだってば)」「麻酔を選ぶなんて、赤ちゃんへの影響なんて考えてないの?(←産婦の2割が帝王切開になるんだけど、その時は硬膜外どころか脊椎麻酔を打ってるけど、じゃあそういう人達はどうなる?)」「だめだなあ、そんなんじゃ、アメリカだからいいようなものの、日本じゃ通用しないよ(←これを言うのは、何故か男性である。そういや「私、アメリカ企業で仕事してる」という話になったときにも同じような感想を言ったぞ、確か)」
結局、麻酔を選択する人が少なく、硬膜外麻酔や無痛分娩についての知識が一般にまで広まってないために、「途方もなく楽をしている」というイメージだけが先行してる傾向もあるのかもしれません。「無痛」分娩っていうネーミングもねえ。なんだか、全く苦労なしにぽこーんと産むみたいじゃないですかね。
麻酔を打っても陣痛の経験はしないといけない、という話の裏付けは、同じくドクター・マリさんのカキコから引用させていただきますが、「アメリカ産婦人科学会は子宮口が4〜5cm開くまで待って硬膜外麻酔を開始したほうがいいと言ってます。子宮口の開き具合と分娩時間の関係を表したグラフから換算すると、初産婦だと大体分娩開始から10時間位、経産婦だと5,6時間でそのくらいの開大度になります。だから無痛分娩でも少なくとも10時間位は陣痛を感じるということになります。また、全開大してからは30分たったら麻酔を追加しないのが一般的みたいです。全開大してから赤ちゃんが出てくるまでは初産婦で1〜2時間、経産婦で30分〜1時間ですから、初産婦は最後に訪れる最強の痛みは十分に味わうことが出来そうです。」だそうで、私の場合は陣痛に耐えた時間は約12時間(無痛だったのは約5時間で、合計17時間の陣痛)、出産時は18分しかかからなかったので楽なほうだったと思いますが、やはり痛みには堪えたんですぅ。無痛だったのは約5時間、それだけですよん。
まあ、それはともかく、麻酔を選択したあとに、友人とか知り合いの感想ならまだしも「姑にグチグチ言われて……(涙)」だったら立ち直れないですな。思うに、くだんの医療論文にある「女として落伍者であるという自責の念にかられ」というのは、麻酔を選択したかしないか、ということではなく、周りの環境によるところが大なんじゃないでしょうか。たとえそう思ってなくても、陰に日向に、しつこく「お前は女として落伍者だ」ってなことを言われ続ければ、そうかな?って気になりますよ。そういう環境に運良くいなかった私なんて、罪悪感を感じるどころか、お産がとっても楽しくてスリリングで(何故か、感動的とは思わなかったな……変な私)産んでよかった、また産みたいわ♪って思ってましたからねえ。
というわけで、このページが、いくつか頂いたメールへのお返事になることを祈っています。
ドクター・マリさん、貴重な投稿ありがとうございました。(2003年2月24日)
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