ぱたのたまご・孵化編 後半

/ 妊娠二ヵ月 (発覚〜7週)/
/ 妊娠三ヵ月前半(8〜9週)/ 妊娠三ヵ月後半(10〜11週) /
/ 妊娠四ヵ月 (12〜15週)/
/ 妊娠五ヵ月前半(16〜17週) / 妊娠五ヵ月後半(18〜19週) /
/ 妊娠六ヵ月 前半(20〜21週)/ 妊娠六ヵ月後半(22〜23週) /
/ 妊娠七ヵ月前半(24〜25週) / 妊娠七ヵ月後半(26〜27週) /
/ 妊娠八ヵ月前半(28〜29週) / 妊娠八ヵ月後半(30〜31週) /
/ 妊娠九ヵ月前半(32〜33週) / 妊娠九ヵ月後半(34〜35週) /
/ 妊娠十ヵ月前半(36〜37週) / 妊娠十ヵ月後半(38〜40週+) /

/ 出産レポート前半 / 出産レポート後半 / 出産レポートその後 /
/午後4時から午後9時まで(出産含む)/
/ おまけ「無痛分娩について」 /


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午後4時。

おばあちゃんナースが思い出したように「あ、ぱたさんおしっこ溜まってると思うんで、おしっこだしときましょうねー」と声を掛けてきました。おしっこ?病院に来てから飲み物なんて何にも飲んでないし、出ないんでは〜?別にしたくもないし。と思ってたんですが、ナース曰く「点滴打ってるでしょ。昼からずーっと点滴やってるから、すごい溜まってるわよ。膀胱を上から触っても分かるわよ〜。麻酔のせいで感じないだけなのよ」とのこと。尿道にカテーテルを通しておしっこ取りますねーという説明が。そっか、よく考えたら、点滴で水分補給してますからねえ、何にも飲んでなくても大量のおしっこが溜まってくるのは当然の理。

それにしても、尿道にカテーテルってすごい痛そうで、わたしゃどきっとしましたよ。いやねえ、中学の時の友人で、大学に入学した年に新歓コンパで死ぬほど一気させられて、急性アル中になって緊急入院したったのがいるんですが、「気が付いたら尿道にカテーテル入れられてた……」だったそうで、入れたときは気を失っていたから分からなかったものの、抜くときにめちゃ痛かったそうなんすよ(ぱたは、その痛さってきっと膀胱炎みたいな感じじゃないかなと想像してみました)。なんか、その談話のイメージが強く残っていて、「痛いんでは……」とナースに恐る恐る質問する私。

ナースは「ああ、麻酔してますから、何にも感じないですよ。大丈夫」と気安く請け合ってくれました。そっか、私麻酔してたんだ。よかったぁ〜。「麻酔してない場合は、つんと来るような痛さなんですよね」なんて説明をしてくれるナース。ナースの説明を聞いても、やっぱり、膀胱炎みたいな痛さなような気がする私。どうなんでしょうねえ。誰か知ってる人に教えてもらいたいかも。

で、「あれっくすさん、ちょっと外して下さい」とナース。うーん、いくらオットでも、妻がカエルをひっくり返したような格好で、お股にクダ差し込まれてジョロンジョロンとおしっこを出すところを見せない、というのがプロの気配りなのですね。私も、産むところを見られるならともかく、そういうのはあれっくすに見せたくないからなあ。

という訳で、分娩室をしばらく追い出されることになったあれっくすが「じゃあ、僕、車に戻って荷物取ってくるからね」と言って、部屋から出ていきました。

実は、一回目に病院に来たとき、大量の荷物(入院に必要なもの)を車から降ろして検査を受けた結果「お帰り下さい」になったため(つまり、その入院用品をもってまた車のトランクに積むというむなしい作業をしたわけで……更に、その入院用品をイチイチアパートの中にもって帰るのも面倒なので、最初にアパートに帰らされたときから、ずっと車のトランクに荷物は積みっぱなしにしてあった)、2回目から、確かに入院が決まってから荷物を取りに行ったほうがいいと気が付いて、持ってきた荷物は病院の駐車場にある車のトランクの中に置いておいたのですわ。ま、それをようやく必要とする場面に来たのであれっくすが取りに行ってくれたわけです。

で、よく考えてみたら、チャイルドバースクラスで学んだ「陣痛を和らげるためのテクニック」で、背中や腰をマッサージする器具がいいとか、暖めるとラクになるので使い捨てカイロを当てるといいとかって言われて妊娠中に色々買い集めた「陣痛中にいるグッズ」もその入院用品と一緒に荷物の中に入れていたのですが、それって大失敗でした。

だって、実際に家で本当の陣痛を堪えていたときは、極寒で雪の降る表の駐車場に停めてある車のトランクの中にあるグッズを一人でとりに行く事が出来ずに使えなかったし、病院で陣痛を堪えていたときは、産科の病棟からかなり遠いところにある病院の駐車場に停めてある車のトランクの中にあるグッズをとりに行く事が出来ずに使えなかったわけで、買ったものを本番で使う事が全く出来ず、でした。

教訓:陣痛堪えグッズは、荷物の中に入れずに、いつも手元に持っていましょう。

さて、話は戻っておしっこですが、「たいしてしたくないし、そんなに出ないだろう」というぱたの予想を裏切って、ものすごい量のおしっこが出ました。いや、実はおばあちゃんナースが、お股の辺りを照らすライトをベッドの足元の上にあった棚から出して、手元を明るくしてカテーテルを刺してたんですが、そのライトの照明板のところが、鏡みたいになっててですね、私のところから何をやってるかが写って見えたんですよ。

せっかくだからと観察していたのですが、照明板は婉曲しているため、あんまりシッカリ詳細までは見えなかったものの、「採取されたおしっこの量」はよく見えたんですよね……一体いつまで出るのか?というくらいジョロンジョロンジョロンジョロンジョロン……と出ており、出してるナースはまあプロだからよしとして、出されているぱた(しかも裏返されたカエルのような格好で……)は恥ずかしさ爆発であります。陣痛を耐えているような緊急時ならともかく、こういう通常の精神状態で、世間話をしながら取られる尿というのもやり切れません。

やっと尿が止まったと見えて、ナースがカテーテルを抜いてくれたんですが、その時に「トイレに捨ててくるからねー」といって持ち上げた透明な入れ物に、2リットルはあろうかという尿がたぷんたぷんと波打っているのを見て、新たに恥ずかしさが込み上げたぱたでありました。あれっくすに見られんでよかった。

午後4時20分。

おしっこを取られてすっきりしたぱたに、本日5人目のインターンの先生が来ました。このインターンの先生、アジア系だったんですよ。と言うか、見た感じ「まるで20代前半の爽やか日本男性」って感じで。

今まで、どのドクターも、ナースも、インターンもいわゆる私の目から見ると「外国人」だったわけでして、なんかそれだと、お股を開くのも見られるのも確認されるのもへっちゃらだったのですが、なんか、相手が「故郷に帰ればよく見かけるような顔、しかも若い。」というだけで、いきなり恥ずかしい思いが溢れて参りました。

「日本の大学病院で赤ちゃん産んだら、こういうドクターに診られるわけか……」と想像して、日本で産むのはすごく勇気がいりそうな気がするぱたです。

で、そのインターンの先生もカルテを見て、「じゃ、内診しますので足を開いて」ということに。やっぱりそうだよな、と思い、恥じらいながら(何を今更……)内診してもらったのですが、お股をのぞき込んだ先生が、いきなり

「おぉ!そこまで赤ちゃんが来てますよ!」

と叫ぶではないですか。

そこまで赤ちゃんが来てるって……どういうことよ?全然いきんでないのになんでさ〜。と思いつつ、私も半身を起こし、あれっくすも身を乗りだして「どうなってるんですか?」と声を合わせて質問。

インターンの先生の話によると、もう子宮口が何センチ開いているとかそう言うのをチェックするどころではなく、とっくに全開していて、赤ちゃんが一人でグニグニと下がってきているというではありませんか。更に「今の赤ちゃんの位置は、-2ステーションですね」と説明を追加。

ステーションの説明ですが、私も詳しくはよぉ分かりませんが、子宮口の所に赤ちゃんの頭が来たところが0になるようで、赤ちゃんがまだ下がる前、上の方に頭があるときは+3とか+1という感じで、子宮からでてもっと下がってくるとマイナスになって、-1とか-2という感じで表わすそうです。

ちなみに、私が2回目に病院にいって「まだまだだからお帰りなさい」と言われたときは、チビぱたの位置は+3ステーションだったわけでして、「すっごい高い位置にいる=ぜっんぜんまだ」だったというわけです。

で、-2まで下がっているというのは、かなり下がってまして、なんと膣口から頭が見えるくらいなんだそうですな。って、これってすんごい近くまで下がってるんちゃうん!って感じなんですが、そこでインターンの先生は「ここからでも赤ちゃんの頭が見えますよ。ほらほら」といって、私のあそこを指で広げて満足そうに頷いているではありませんか。状況が違ったらかなりアブない図ですが……

インターンの先生が「ほらほら」なんて言うから、そばにいたナースもあれっくすも「どれどれ」ってな感じで私のお股をのぞき込み、「いま広げますね(←また広げられるのか!と悲しいぱた)……ホラ!ね?」「おおおぉ〜〜!」「あらほんと!」なんて盛り上がっています。

あれっくすが興奮しながら、「赤ちゃんの頭見ちゃった!見えたよ!!」なんて私に報告してくれますが、私は自分では見えないし、麻酔状態をエンジョイしているのもあとわずかと思い知らされて、「そう……」とテンション低し。

その20代前半日本男性もどきインターンは、「それじゃ、いよいよ分娩ですね。」と爽やかに言いつつ去っていきました。

さあ、ナースはかちゃかちゃと分娩器具を取り出して広げ始めます。担当のハンサム先生にも連絡しましたからね、なんて言いつつ楽しそうです。私の方は、陣痛が絶え間なく来ているのを感じながら(しかし麻酔のお陰で全く痛くない)、「あーあ、ついにゴールに近づいたんですね〜」なんてしみじみしたところ、ナースに、「なーに言ってるの!これからが本番でしょ!ここからあなたは頑張らないといけないのよ!大体、いきみ始めてから生まれるまでは、初産だったら1時間くらいかかるのよ!長い人は3時間くらいいきむんだし」なんて言われちゃいました。

午後4時40分。

さて、分娩室のドアが開いたと思ったら、満を持してのハンサム先生の登場です。「あ〜!せんせーい。待ってましたよ〜」と、馴れ馴れしく呼びかけたりして。いやあ、やっぱり見慣れたドクターの顔を見たらほっとしましたよ。

ハンサム先生もカルテを見て、「おぉ、もう下がってきてるんですね。じゃあ、今すぐでも分娩に入れるかー。そうかそうか」なんて感じでつぶやいてましたが、その途中、ナースセンターから来た連絡のナースが「ぱたさんは、かなり前に破水したまま放置していたため、感染症の恐れがあるので、小児科の方に連絡しないといけないんですが、どうしましょう」みたいなことをハンサム先生に聞いたんですわ。

そしたら、急に「な、なんだそれは。あ、カルテにも破水が2日前に起こってるって書いてある……そんな事はないんだから!ちゃんと確認したのか?破水がないと言ったインターンは誰だよ!僕のクリニックの方でも検診で確認してそういうことはないって分かってるし、ホラ、次に見たインターンが「破水:透明な液体が出たのを確認」って書いてるじゃないか。ったくぅ〜!」って大声を出し始めまして〜。←それを聞いて、え?破水はやっぱり病院でこのベッドの上で起こったのか?あの「2日前に破水してたわねー」と言った金髪碧眼ボインでモデルのような美人インターンの勘違いなのか?と混乱するぱた。

「小児科はいいから、すぐに〜〜の方に連絡して。あ、○○は×にしといて。△△はどうなってる?あ、そうか。この数値はどう?……あ、きみ、こっちに来てこれを開いておいてくれないか」と、ハンサム先生はてきぱきと私の分娩の指揮に入りました。

まあ、いつもほにょーっとしてて、いかにも頼りない外見のハンサム先生(あれっくす&Junjunの意見では)も、医療現場の真ん中にいると、まるでERにでてくるドクター達のようにすっげーカッコ良く怒鳴って、ばしばし指示するんだなーなんて感心しながら見てました。働く〜パパぁ〜は、ちょっと違う〜♪(byキヨシロウ)、ですな。

で、「ぱたさん。何か心配ありますか?質問があったらどうぞ」と余裕のほほ笑みのハンサム先生。私は実はさっきから気になっていた質問を「あの〜。せんせーい」と聞いてみました。

って破水のことでも感染症のことでもなく、また浣腸のことでもなく、いの一番に聞いたのが

「さっき入院手続きしたときに、看護婦さんが『ハンサム先生は午後5時までここの病院にいて、5時以降は奥さん先生が来られます』といってたんですが、今って4時45分ですよね。どう見ても5時までには生まれないと思うんですけど、もしかして私が『う〜〜ん』とか唸ってるうちに5時になったら、奥さん先生とバトンタッチになっちゃって、先生は帰られるんですか?」

でした。なんか、アメリカだったらそういうこともありえるんじゃないかと思いまして(笑)。

ドクターの返事は「もちろん何時まで掛かろうとも、ぱたさんのお産は僕がやりますよ。心配しないで。」でした。あーよかった。しかし、その質問をしたら満足してしまって、破水のことや便のことを聞きそびれた間抜けなぱたです。

午後4時50分。

ドクターに「気分はどうですか?」と何度も聞かれるぱた、「まだ何の変化もありませーん」とブッこく。だって本当になんの変化もないんだもの。赤ちゃんがそこまで来てると言われても、気分は麻酔の天国の中、ほんとに後ちょっとで分娩を始めるのか?って半信半疑状態です。

ドクターは「もうかなり下がってるんだから、いきみたいっていう衝動を感じててもいいはずなんだけどな……ぱたさん、うんちしたい!っていう感じの気分になってませんか?」と何度も何度も聞かれ、「いやー、そんな気分にはなってませんが……麻酔のせいですかねえ?」なんてのんきに返す。ドクターも、まあ、あとちょっと様子見ますか。なんて感じでそんなに急いでいるようでもなかったですが。

午後5時。

ドクターだけではなく、ナースにまでも「気分はどう?」と繰り返し聞かれます。「いきみたい衝動はどう?」「いや別に……」「陣痛もいいのが来てるし、そろそろいきみたくなっていいんだけどなあ」「そうはいわれても……」「ほんと?」「はぁ……」ってな感じです。

そして、ついにドクターは、麻酔医に連絡をしてしまいました。「ぱたさん、いきみたいって思わないそうですから、麻酔の量を減らして下さい」だそうで……えええ〜〜!!!そんなぁ〜〜!!!

呼ばれた麻酔医はあっというまに病室にやって来て、「麻酔の量減らしますねー」といって、チューブに繋がった機械のダイヤルをちょこっと回して去っていきました。あ〜ん。

ダイヤルを回した効果は絶大で、今まで「子宮縮んでまーっす」っていうくらいにしか感じていなかった陣痛が、痛みとして戻って参りました。まあ、そんなにすごく痛くはないのですが、「あーあーあー。もう天国を追われるのね、私……」というくらいは痛く、とってもショック。しかし、ドクターやナースの言う「ウンコしたい衝動」は感じてない様子。

ドクターは、「いきみたいっていう衝動は、背中の方に、鈍い痛みのように感じるかも知れません。背中の方に痛みを感じませんか?」としつこくしつこく聞いてきますが、「いや〜。特に……」とあくまでも私は言い張るので、ドクターは「しょうがないなあ……あとちょっと待ちますか。」と。待ちの戦術に入ります。

まあ、私も「一刻も早く産みたい!赤ちゃんのチビぱたと対面したい!」という気持ちが薄かったんでしょうなあ。だから、そんなに一生懸命になってなかったんじゃないかと思います。「あとちょっと待ちますか」といわれて、すんごいほっとしたりして。チビぱたに会うよりは、こうやって麻酔の中でノンビリ横になっているほうが良かったと言いますか……ははは、母性の足りないぱたでした。

午後5時15分。

実は、なんとなーく背中の方が押されるような気がしてきたなあ、と思ってきた頃。しかし、いきみたい「衝動」という程強くもないので、「まだのような……」と言い続けていたのですが、全て準備オッケー、スタンバって待っているハンサム先生はさすがにしびれを切らしたのか、「赤ちゃんももうそこまで来てるし、陣痛もいいのが来てるんですよ(←モニターで見るとちゃんと分かるらしい)。だから、このままいきみたいと思うまで待ってても埒があきませんから、もう産んじゃいましょう。」と言い出しました。ううう……ぱたさんのお産が終わるまで病院に残りますから、って言った以上、早く済ませたかったのか?なんてひがんでみせたりして。

しかし、さっきから感じている背中への圧迫感が「いきみたい気持ち」なのかも知れないな、と思い直す。なんにしろ初心者なので、これが果たしてそうなのか?っていうのは分からないわけでして、下手に素人考えで「まだでーす」なんて引っ張ったらダメだよなーという気持ちもあったわけであります。

ああ、これでチビぱたを体からひねり出すのねーと思いながら、ドクターがお股の向こう側に器具をカチャカチャ並べるのをでかい腹越しに眺めるぱた。意外と心は落ち着いておりました。

おばあちゃんナースに「あなた、自分で産んでるところ鏡で見てみたい?」と聞かれ、うーん、そんなエグそうなモノは見たくない……と思ったんですが、イヤ待てよ、もしかしたら産んでる途中で急に見たくなるかも知れん、ぱたのたまごに書くネタになるかも知れんから、オプションは残しておくべきでは?と、頭の中の冷静なぱたが囁きかけたので、「ハイ」と返事をしたところ、足下の方にでかい姿見のような、下にコロコロのついている鏡を置かれてしまいました。なるほど、あれで見るわけですな。

日本の妊娠雑誌を見ると、妊婦は分娩台についている脚乗せ器具に両足を乗せて(そして、その脚になにか緑色の布?紙?のような物がかけられている様でした。脚に血がつかないように?脚についているばい菌が赤子につかないように?なのかな?)、大開脚をした状態を固定されて出産しているようなのですが、私の場合はそのような大開脚用の器具がベットについておらず、産む時もそのように固定したりはしないのか知らん?と思いつつ、準備をぼんやりと眺めておりました。

午後5時20分。

私の右側にあれっくす、左側におばあちゃんナースが立ち、お股の向こうにハンサム先生。ハンサム先生に、「両手で、太ももを外側から抱えるようにして、太ももを胸につけるようにして下さい。そしてお股を開いて」と指示される。イヤー、今書きながら客観的に考えてみたらすんごいポーズですなあ。でもって、そのポーズをとったところ、おばあちゃんナースに左足をサポートされて、高くあげられました。ほいでもって「あれっくすさん、同じように右足を上げてサポートしてあげて下さい。」とのころ。そう。あれっくすにもちゃんと係が割り振られておりましたわ。

そんなポーズを取ってから、ハンサム先生から説明が。「陣痛が来たら、それにあわせていきみます。いきむタイミングは僕が言いますから、そうしたら、排便をするようにいきんで下さい。10秒続けていきんだら、一旦息を継いで、もう一度いきみます。1回の陣痛で10秒のいきみを二回やりますから、息継ぎは素早くやって下さいね。あれっくすさんは、そこから見える時計(ちょうどあれっくすが立っている位置から、壁にあるでかいデジタル時計が良く見えるようになっているのであった……うまいことできてますな、分娩室)で、10カウントを大きい声で言ってあげて下さい」とのこと。

で、ハンサム先生はモニターを見ながら、「はい今!いきんで!」といきなり言い出して、私は「え?え?もう産むの?」と出遅れてしまい、「ぱたさ〜ん!いきんで!って僕が言ったら、『うーん』ってやって下さいよ〜」と突っ込まれてしまったのでした。

ちなみに、「いきむ」は、英語では「Push」と言うようです。プッシュして−!って言われるわけですね、周りの人から。

で、次の陣痛がくるのを変なポーズのまま待っている私達。しかし、次の陣痛なんてあっという間に来るんですわ。ハンサム先生が「ほ〜ら、来ますよ〜。はい!いきんで!」ってすぐに言い、「え?もうかい!」と慌てるぱた。はい、今やります!って感じで下半身に力を入れて、

う〜ん!

って気張ったんですが、や、やばい!なんか、この感じ「うんこが出そう」なんです。

出産は初めての経験ですが、物心ついてから、排便っツーのは数えきれないくらいやってきましたので、こういう感じで力を入れるとうんこが出るってのはいくら麻酔が下半身にかかっていても分かるんすよ。絶対これは例のブツが「ハロー!」って出てくる!!とぱたは大焦り。出産前に浣腸しないから、大腸には昨日の排泄物がつまっているのは確実ですしね。

なもんで、うーん!って気張りながら、「肛門は締めて、膣の方だけに力を……」なんて難しいことを考えながらいきんでみました。まあ、麻酔もかかってるし、膣からモノを出すなんてことはやったことがないのでうまく力が等分されてるかは分かりませんが、ブツを出さないようにおしりに力を入れてたわけですな。

そしたらですね、陣痛が去って一回目のいきみが終わり、小休止に入ったところでハンサム先生にすかさず、「あなた、肛門に力を入れてるでしょ!僕には分かるんですよ!(←どうして分かるのか、聞いてみたいような、聞きたくないような……でもですね、チビぱたを産んでから、彼女のおむつ替えをしてて気がついたんですが、ンコをしようと気張ると、肛門が開くんですな。ピロピロ−っと菊のつぼみのような感じのシワが出てきて。で、おそらくンコを漏らさないように力を入れると、それが出ないんじゃないのかなーなんて推測してみたりして。まあ、真実のホドは分かりませんが。)全力でいきんで下さいよ!そうしないと赤ちゃん出て来れませんよ!」」と叱られてしまったです。

「で、でも〜。全力でいきんだらうんこ出ちゃいそうで……だからなんか……」と力なく言い訳してみたところ、「ウンコなんて恥ずかしいことじゃないんです。だから、ウンコ出してもいいから全力でいきんで!そうしないと産まれませんよ。そもそも、人間はみんなウンコをするんです。あなただけじゃないですよ、この部屋にいるみんな、ナースもあなたのダンナさんも、この僕だって毎日ウンコしてますからね。」なんて強い調子で言われたんすけどね。

しかし、私はその時「でも!あんたらは人の前でお股全開にして、みなに注視されながらウンコしたことはないだろう!」と心の中で絶叫しておりました。←しかし、してたらヤダな……そういうのが好きな人もいるらしいし……

で、次のいきみは、破れかぶれで「ンコが出てもかまわん!」の勢いでプッシュしました。はい。こちらからは見えませんので、ブツが出たのかどうかはその時は知る由もなかったのですが、後日あれっくすに聞いたところ、「……うん、2回目いきんだ時にウンコ出してたよ……」とのことでした。嗚呼。私は人前で排便をして、なおかつそれを3人もの人に見られてしまったのですね……あれっくすにしても、自分の妻が他人の目の前で凄いポーズで排便しているのを見るのって、精神的にどうなんでしょうね。

しかし、ドクターもナースも何ごともなかったかのように「上手なプッシュね!うまいうまい!その調子!はい、一旦息継ぎしてもう一度プッシュ!」なんて言ってるんですよね。さっすがプロ。

まあ、アメリカで産む人は「他人様の前で排便をすることになるかも知れない」という部分は覚悟しといが方がいいかもですね。でもですね、実際その場になってみたら、思ったよりもたいしたことじゃないっスよ。ほんと。

さて、2回目のいきみで、「いい感じでいきんでますねえ。」とハンサム先生にいわれ、「あなたいきむの上手よぉ」とおばあちゃんナースにいわれ、すっかりいい気分になって、早く3回目いきませろ〜!なんて乗せられてしまったぱたでした。お調子者。

続けて3回目のいきみ、いきんでいる途中でハンサム先生に「あ、頭が出たよ!見えるよ!」と言われ、あれっくすは10カウントする係のはずなのに「え?見せて下さい!」なんて言って、カウントを止めて脚の間を覗き込み、「あ〜!髪の毛あるよ!ハゲの赤ちゃんじゃなかったよ!」なんて感動してます。

わ、私も見たい!鏡、鏡!と思ったのに、足下に置いておいた鏡はあさっての方向を向いていて全然見えないでやんの……。鏡をこっちに向けて下さい、とわざわざ頼むのもなーと思ってしまったぱたは、お股からチビぱたがちょびっと出てるところを見逃してしまったのでした。

しかし、じつはこの鏡はずっとこの角度のままでありまして、出産の瞬間も見逃すはめになったぱたでした。遠慮しないであの時に鏡の位置を調整してくれるように頼めば良かったなあ。しかし、そんなにすぐにチビぱたが出ると思わなかったんすよ。ほら、いきむのは人によっては何時間もかかるし、平均でも1時間くらいいきむから途中で休憩が入ったりする、っておばあちゃんナースにつれづれに聞いてたんで、その休憩の時に鏡をこっち向けてもらえばいいか、って思ってて。

いきみ4回目に入る前に、ドクターに「ぱたさん、プッシュ上手ですよ。がんばって下さい」と言われ、いっそうやる気になって奮い立ちます。でも、これって産科医・プロのわざなんでしょうねえ。上手上手、って言われたら、やる気になるもんねえ。

で、余裕が出たぱた、「なんか、脚の間に何かが挟まってるような感覚があるんですよ〜。変ですね〜」なんてハンサム先生に話し掛けたところ、「そりゃあなた、赤ちゃんが脚の間に挟まってるんですよ。今産もうとしてるんだから当たり前でしょ……」と笑われてしまいました。

4回目も、途中であれっくすが「頭がまた見えた〜!すごい〜」と興奮状態。ハンサム先生もおばあちゃんナースも「そうそう、その調子!うまいうまい!もうちょっと強く!はい、息継ぎしてすぐにもう一回プッシュして!」と私を励ましております。みなに声援を受けて、頭の血管が切れそうになりながら「う〜〜〜〜ん!!!」といきむ私。

しかし、本当に赤子が出かかっているのか、私のプッシュはちゃんとしているのか、本人の私には良く分からないんですよね〜。麻酔がかかっていてもいきめるんですけど、産道に感覚がないもんで、ちゃんと押されて出てきてるのか感じないし。みんな、うまいうまいって口先だけ?頭が見えてるなんてほんまかいな?なんて思ったりしてね。自然分娩の人は、この時にちゃんとズリズリ〜っと赤子が出て来るのを感じるんでしょうかねえ?

5回目のいきみ、ハンサム先生が「そこまで来てますよ。もうちょっと!!はいプッシュ〜!」なんて言うのを「また同じこと言ってるのね、この先生……」と思いながらいきんだところ、いきなり「はい、いきむの止めて!」と言われるではないですか!

出産前に読みふけった「たまごクラブ・出産準備編」によると、いきみを止めるのは、発露の時なんですよね。それはなにかと言いますと、赤ちゃんの頭が出てくるときは、いきみ時に膣から頭が出てきても、ふつうはいきむのを止めるとまた中に引っ込むんだけど、ある程度たくさん頭が出ると、いきむのを止めても引っ込まないで頭が出たままの状態になるんですが、その状態のことを発露と言うそうなんですな。

で、「え?もう発露?ってことは、ほんとにもうちょっとなのか?」とびびり、慌ててハッハッハという呼吸(たまごクラブによると、短息呼吸と言うものらしい。発露の時はそうしろと書いてあった)に切り替えました。

いやねえ、この辺先輩ママさんにいろいろ体験談を聞いたんですけど、「いきむのを止めて!」と言われたのに、そこでいきんでしまうと『裂ける』そうなんですよ、あそこが。これ、実際、ほんとーに何人もの人に言われましたので、おかげさまで「裂けるの恐い、裂けないようにするにはいきんだらダメと言われたらすぐに止めなくては」と、脳裏にくっきりと刷り込まれておったのですなあ。

ってわけで、慌てていきむのを止めて、たまごクラブに書いてあった通り「ハッハッハ」をしていたら、ハンサム先生に「そんなふうに忙しく呼吸しなくてもいいですよ〜。」なんて言われちまいました。日米の違いなのか、私の短息呼吸が大袈裟すぎたのか?ははは。

そして、ハンサム先生に「軽く、ン、ン、って感じでいきんでみて〜。」と声をかけられました。ちなみに、出産前は「分娩中のドクターの指示なんかの英語がちゃんと分かるだろうか?分からなくてやっちゃいけない時になんかやっちゃって、お股が盛大に裂けたらどうしよう」なんて心配してたんですが、この辺の指示は、こんなふうに頭に血がのぼっていたら、英語が母国語のアメリカ人でも指示がわかんなくなるからか、ドクターもナースも分かりやすく「こんなふうにやって」って感じで実演してみてくれるので、何も考えなくても、実に指示通りのことができました。

で「ン、ン」と言われた通りにプッシュをかけたところ、

ちゅる〜ん♪

って感じで何かがお股から出てきました。チビぱたです。

午後5時38分。

いきなり「ふぎゃぁぁぁ〜ん!」という泣き声が分娩室に響き、ナースもドクターも「良くやりましたね〜!出てきましたよ、可愛いガールが!」と私に話し掛けてくるし、あれっくすが大興奮して「凄い!うわぁ〜!」と叫んでるし、私は「え?まじ?もうチビぱたが出てきたわけ?えええ?」とびっくり。

だって、いきみ始めたのってついさっき、ほんの20分程前なんですよぉ。分娩って、普通、もっとかかるもんじゃないんでしょうか。ってナースも言ってたし、本にもそう書いてあったような。特に私は初産なので、そうそう簡単に赤子が出てこないと覚悟してたと言うのに、あっという間だったですわ。

そして、出てきたチビぱたをナースが「ホーラ、可愛い赤ちゃんですよ〜。」といいながら、私の胸の上に置いてくれるではないですか。うわわぁ〜!

いやぁ、私ってばなんか「出産したら、その結果として赤ちゃんがもれなく付いて来る」という部分をちょっぴり忘れかけてたようなんですよねえ。楽しい楽しい妊娠生活のフィナーレが出産であり、出産のクライマックスが分娩であり、そしてそこで「めでたしめでたし。おしまい」だという風になぜか認識していたというか……いや、もちろん赤ちゃんを産むってことは頭では分かってたんですが、産んだ後はその現物の「赤子」が私のもとに来るっていうのをちゃんと理解してなかったっちゅーか……

そのため、産まれたてホヤホヤ、叫ぶ肉塊を胸に押し付けられて、いきなり吃驚してしまったぱた。うぉぉー!こんなのが腹の中に入ってたのかぁ〜!ってな感じです。しかし、やっぱりチビぱたが世の中に出て来た瞬間ですから、なにか気の利いたことを言わねばならぬ!とドギマギして、う〜、あ〜、と頭の中で目まぐるしく考えた挙げ句、結局「はっろ〜♪」なんちゅー、月並みなことしか言えなかったぱたでした。

それにしても、アポロ11号が月面に着陸した時、アームストロングが“月面に立つ最初の人類”として月面に第一歩を踏み出す直前に「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」というすばらしい名言を残して有名になりましたけど、ああいう気の利いた台詞は、やっぱり事前に考えておかないととっさに出ないものですなあ。アームストロング船長もやっぱり事前に「こう言おうか、ああ言おうか」と考えておったんでしょうか。考えてなかったら、やっぱり「うっひょ〜!やったぜ〜!」みたいな情けない台詞しか出ないと思うんだけど……それとも歴史に残るようなすばらしい人物とつまらないぱたの教養の差か?

と、アームストロング船長のことを考えながら、チビぱたの顔を覗き込んでみた私、最初に思ったのが

「私はガッツ石松を産んでしまったのだろうか……」

でした。だ、だってだって。ほんとにガッツ石松みたいだったんっスよ!赤子!目がめちゃめちゃ腫れてて、鼻はあぐらかいてぺちゃっとしてるし、頭がいびつに後ろの方にとんがってて長いし……しかも、なんか体は赤紫色で、白目剥いてるし、ほんまに大丈夫なんかい、コレ!って感じで。間違っても「まぁ、私の可愛いベイビー。うふ、わったし〜が〜、ま〜ま〜ぁ〜よ〜♪っていう気分にはなりませんでした。見た瞬間、ぎくぅ!ってなもんで。

しかし、みんな「びゅ〜てぃふる・べいび〜」とか、「はう・ごーじゃす!」とか、めちゃめちゃ誉めてくれて、えええ?!ガッツ石松と思っている私の方がおかしい?なんて不安になっちゃいましたけどね。まあ、他人の新生児を「あら不細工ね」という医療関係者はいないとは思うので、誉めるのが当たり前ではあったのでしょうけれど。

しかし、胸の上でフエーンフエーンと泣いているチビぱたは、不細工ではあってもなんだかあったかくて、確かな重さが伝わってきてなんだかほっとしてしまいました。

その後、チビぱたと私が繋がっているへその緒を切りまーす、という声がかかり、ハンサム先生があれっくすに「切りたいですよね?」と話し掛けていました。あれっくすは「も、もちろんですっ!」と興奮ぎみで、渡されたはさみでチョキッと切りました。緊張のせいか、一回目で切れずに2回切ってましたけど。

へその緒は、うすーい水色をしていて、光を受けてキラキラと反射していてとっても綺麗でした。で、思ったよりも太くて、物凄く弾力がありそうな感じのモノでしたねえ。いやぁ、チビぱたよりも「へその緒の方がきれいかも」なんて思ってしまったです。

へその緒を切られてぱたと分離されたチビぱたは、分娩ベッドの横にある新生児用ベッドのなかに入れられ、体をきれいに拭いたり、体重や身長を計ったりされていました。「チビぱたちゃんは3009グラムでしたよ(←医療機関はメートル法の単位を使うので、メートル法で育った私にも分かりやすくグ−。でも、あれっくすのために「3009グラムって6パウンド10オンスのことよ」ってちゃんと説明してました。アメリカ人、がんばってメートル法に移行しろよ……)。小さめ赤ちゃんでしたね。」なんて言われたりして。

しかし、3000グラムちょっとで産まれたってのは、日本だったら決して小さめとは言わんのじゃないか?って思ってみたりして。2000グラム台だと小さめって言うかもしらんが(とは言っても、たかだか10グラムくらいの差か)。アメリカの赤ちゃんはそんなにでかく産まれるのか?妊娠中に日本みたいに体重管理しないでいっぱい食べてるから、栄養がいいのか?まあ、おそらく、アメリカでは7パウンド以下だと「小さめ」っていう印象になるのかも知れませんな。単に、単位の違いで、区切りになる場所がちょっと違うだけの話でしょう。

まあ、そんなことを考えながら、ついチビぱたのいる方を眺めて、ついに産まれたのかぁー、3009グラムかぁ〜、なんてやっと実感しながら呆然としていたため、しっかり記憶しておこうと思っていた「後産」(赤子の後に、胎盤が出て来るやつ……赤子が出るところよりも、この胎盤が出る後産の方がグロいらしく、出産シーンを見ても平気だったダンナさんが、後産を見て吐きそうになったとか、そういう話を聞くこともあり)がいつあったのか分からなかったのでした。気が付いたら、ナースが私のお股から出てきたらしき胎盤の重さを計ったり、出残りがないかチェックしてたんっすよね。残念。

私はベッドに寝ていたため、その出てきた自分の胎盤を見ることができなかったのですが、覗き込んだあれっくすによると、「すげ−でかかった!ほんで、なんていうか……巨大なエイみたいな感じだったよ……本当の事いうと、めちゃめちゃ気持ち悪い外見だった……あのチャイルドバースクラスで見たやつよりももっとグロかった……」だそうで、その描写を聞くだけでゲンナリしてしまったぱたでした。

そういや、日本の産院で、出産後すぐに自分の胎盤を刺身にして食べさせるところがあるらしい、それって凄く美容にいいらしい、という話をどこかで読んだんですが、以前、出産前のはるちゃんと「産んだ後、ドクターに胎盤食べてみたいっていってみるか?」なんてバカ話をしていたことがあったんですわ。ちょうど映画「ハンニバル」がロードショーされている時だったんで、そんなこと言ったら「あの子ってレクター博士のつもり?」なんて病院中の有名人になったりして〜、なんて笑い転げてたんですが、そんな話を思い出しただけで吐きそうになったそうですわ。

そして、そっか、胎盤が出たのかーなんて思って足下の方を見ようとすると、ハンサム先生が私に「ああ、ちょっぴり裂けちゃいましたねえ。縫っときますから。一針くらいですよ。」なんて話し掛けてきました。あ、そういえば、裂けるのが恐いとかなんとかって思ってたよなーなんて今さら思い出して、「え、裂けちゃったんですか?」なんて間抜けにお返事したんですが、事前にあんなに心配していた癖に、終わっちゃったらどうでもいいようなことのような気がしてました。

しかし、一針くらいって事は、ほんのちょっぴりだけですよねえ。日本みたいに会陰切開していたら、一針どころかチクチクチクチクチクすんごい縫われるだけだし(もしくはホッチキスでバッチンバッチン?どっちにしても傷口は大きいだろうな)、会陰切開しないアメリカの病院ブラボー!と思うのでありました。

ちなみに会陰切開についての話は、妊娠中にいっぱい書いたので、興味のある方は妊娠八ヶ月後半のページここ(11/29)ここ(11/30)をお読み下さいませ。

日本では会陰切開したほうが傷口の治りも早い、と言われているそうですが、ちょっとしか裂けなかった場合は、どう考えてもあらかじめがばっと切るよりもちょっぴり裂けた方が、傷口の治りも早ければ傷も綺麗ですわね。まあ、めちゃめちゃに裂けた場合はそら大変ですが。私の場合は、切られなくて良かった、という感じでしょうか。

で、縫いますねーなんていって、ハンサム先生はちっちゃい弓なりになった針に黒い糸を通して、針をピンセットでつまむようにして私のお股を縫っておりました。お股を縫われているところをジッと観察するというのも間抜けな図で、手持ち無沙汰でもありましたので「その糸って後で抜糸しないといけないんですか?それとも自然に溶ける糸ですか?」「ストップかかってからいきまないようにしたつもりだったんですが、やっぱり裂けちゃうんですね」などと話し掛けとったんですが、ハンサム先生にしたら「うるさい、縫うのに集中させろ」だったかもしれないっすね。まあちゃんと、「この糸は自動的に溶けますよ」とか「いや、裂けたといってもちょっとだけですよ。ほんとにちょっと」なんて返事してくれてましたけどね。

あと「一針って思ったんですが、念のためにもうちょっと縫っときました。」なんて言われたんですが、「一針多く縫った?処女に戻ったのか?(笑)」と、お約束のジョークを頭に思い浮かべたりして。

そして、もう一つの懸案であった質問をハンサム先生に。

「あのー。私、になりませんでした?」

これこれ!分娩時に思いっきり全力でいきむため、妊婦さんの多くが「痔」になるそうなんすよね(いわゆる“でぢ”ってやつですな)。妊婦と痔はつきものなんですけど(コリも妊娠日記の方にさんざん書いたので、ずっと読んでくれている人にはお馴染みの話題ですが)、私の周りでも「……うん、実は……妊娠中は便秘に気をつけてがんばったから痔にならないですんだのに、出産でいきんだ時に痔になったよ……他人には言えないけど」って人がわりと多いので、私も気になったたんですよ、ほんと。しかし、こんなことを聞いちゃうとはなあ、ハンサムなドクターに……まあ、もう排便まで見せちゃった人に聞くのに何を恥ずかしがることがあろう、ってな調子ですが。

先生曰く、「ぱたさんは、いきみ始めてから産まれるまでが超特急だったんで、そんなに気張らなかったでしょ。だから痔にはならなかったみたいですね。良かったですね」だそうで、それを聞いて安心したぱたでありました。

お股を縫い終わり、向こうで拭かれたり計られたり小児科医のチェックを受けたりしていたチビぱたも、所定のプロセスを終えたらしくてこちらに連れてこられました。「ハイ、お母さん抱いてあげてね。」なんていわれて、ほにゃほにゃのチビぱたをおっかなびっくり抱く私。しかし、抱きながら「あれっくす!あれっくす!早くデジカメでこれ撮って!ほらぁ!」と命令口調でありました。ははは……

午後6時過ぎ。

出産を終えた後、生まれたてほやほやのチビぱたの写真を撮りまくっていたところ、やることをすべて終えたハンサム先生が「今日はおめでとう、また後で会いましょう」と言って握手してくれました。あれっくすなんて、「あの先生頼りないからなー」なんて言ってたくせに、そう言われて「本当にありがとうございます!」なんて感動して、ハンサム先生とハグまでしてましたよ。

あと、麻酔科のインターンのドクターのうちの一人がやって来て、「ぱたさん、麻酔の管取りますね〜」と声をかけて、麻酔を外してくれました。背中にべったりテープでチューブを固定してあったんですが、そのテープをばりばり剥がして管を抜いてました。もちろん痛みは全く感じず。「麻酔、最高でした!」とまたしつこくインターンに感謝するぱた。

そのあと、ハンサム先生に、最後に「ぱたさん、あなたのお産は、産科の教科書に出てくるような完璧で問題のないものでしたよ。とっても軽い安産でした。本当によかったですね。」と言われました。そうなのか、私は安産だったのかーなんて思ったんですが、「イヤ待てよ、コイツは、私が12時間以上も陣痛に苦しんでいた(もし麻酔を打たなかった場合は、実に17時間も陣痛を我慢しなくてはいけなかったわけで)ことを分かってないのでは?」なんて思っちゃったりして(笑)。なんとなく、安産って言うのは「陣痛が始まってから生まれるまでも早かった」場合に言うような気も……そうでもないのか知らん?

でもまあ、へその緒が巻き付いてたとか、回旋異常があったとか、微弱陣痛だったとか、心音低下したとか(これらの知識は、読みふけったたまごクラブの出産準備百科に色々書いてありました。いわゆる、分娩中のトラブルですな)、そういうことはなかったんでやっぱり安産だったんでしょうね。まあ、何しろ気張り始めてから18分で生まれたんですし。

そんなこんなでハンサム先生が分娩室を後にしたあと、「さあさ、赤ちゃんはお風呂に入ったり、色々やらないといけないことがあるから、ナースステーションの方に行きますよ〜」と、迎えに来たナースに声をかけられました。あれっくすは「え〜、もうチビぱた行っちゃうの?」とすごい名残惜しそう。そしたら、ナースに「お父さんも一緒に行きますか?いいですよ」といわれ、「え?ほんと!?行く行く!!」と、ぱたを振り返りもせずに、チビぱたの入ったベッドの後を追って行ってしまいました……

ハンサム先生も、チビぱたも、小児科のドクターも、あれっくすまでいなくなってしまった分娩室は一気に静かになってしまいました。私も気分がハイの状態で、チビぱたの後をついて行きたいのは山々ですが、何にしろ下半身に麻酔がまだ残っているのでベッドから降りることも出来ません。なんか、さっきまでイベントの中心にいて、みんなのアテンションを得ていたって言うのに、産んだら中心はベイビーに移っちゃって私は取り残された気分。まあ、そんなもんでしょうかね、やっぱ(笑)。

おばあちゃんナースに「ノド乾いたんじゃない?」と聞かれ、「乾いた乾いた!」と勢い込んで返事をすると、小さいパックに入ったリンゴジュースをくれました。「いやあ、あなたよかったわねえ、早く産まれて。ほんとに早かったわよ〜、びっくりしたわ」なんて話し掛けてくるおばあちゃんナース。私はもらったジュースを5秒ほどで飲み干してしまい、物欲しそうな顔をしていたようで、おばあちゃんナースが「もう一本あげましょうか?」と聞いてくれました。←もちろんもらった。しかも、今度はオレンジジュースがいいと注文までする私……

ナースに「分娩ってすんごい楽しかった〜。ほんと、あんなに楽しいものなら、3回くらい続けてやってもいいなあ」と言ってみたところ、おばあちゃんナースは目を丸くして、「私はもう30年以上助産婦をやってて、沢山の出産を見てきたけど、“分娩が楽しかった”なんて言った妊婦さんは初めてだわ!産んでる途中で“もうやめる”とか“二度と妊娠したくない”とか言う人は沢山いたけど……」と言われてしまいました。「この年になって、こういうことを言う妊婦さんに出会うとは思わなかったわ〜。次に当たった妊婦さんからあなたの話をさせてもらうわね」なんてウインクされちゃいました。

まあ、私が楽しいと思ったのは、麻酔をかけてもらったところに起因する部分が大きいとは思うんですが……(麻酔でハイになってたのか?やはり?)。確かに12時間以上の陣痛は本当に辛かったんですが、これも先輩のみなが言う通り、産んだ途端忘れちゃうんですよ。痛かったなあ、という記憶はあっても、どんなふうにどう痛かったか、って言うのがどんどん記憶に遠くなっていって。やけどとか、切り傷とか、歯痛とか、膀胱炎とか(笑)、そう言うのはなかなか忘れないじゃないですか、どんなふうに痛いっての。けど、陣痛ってほんとに不思議です。それらの痛さよりも何倍も痛いと思ったのに、終ったら覚えてないんだもんね。

その後、おばあちゃんナースにも「今日はよかったですね。これで私の仕事はおしまいです。あなたもゆっくり休んでね。」と挨拶されて、とうとう分娩室に一人にされてしまいました。結局午後8時ちょっと過ぎまで、分娩室で一人でした。恐らく、出産という大仕事を終えた妊婦さんを休ませるっていう意味だったのでしょうが、何だかもったいなくて寝ることは出来ませんでした。本当は、ここでちょっと寝るべきなんだろうな……と分かってたのですが、興奮して寝付けず、夕方産んだんだから、どうせこれから夜寝れるだろう、と思い、「ぱたのたまごのため」と手元のメモ帳に起ったことを忘れないように記録するぱた……こんなときにまで……職業病のようですな。

それにしても、あれっくす、一度も私のところに戻ってきやしなかった……チビぱたにくぎ付けになってたらしいっす。あんたの娘を産んだ大切な妻を見舞わんかい!と思わないでもなく(笑)。

午後9時。

回復室に落ち着いていたぱたです。分娩室から、この回復室に移動してきたんですよね〜。この病院では、出産後48時間は入院するという規則になっているそうで、ということは、産んだ時間にもよりますが、病院に2泊することになるそうなんですわ。もちろん、本人の希望があれば24時間で退院できるそうですが(そして、それを希望する人もすごく多い……マジか、私だったらちょっとでも長く病院にいたいけどな……)、とにかく、回復の段階では長丁場になるせいか、分娩室から移動して、ホテルルームのようになっている(つまり、分娩のための装置などが隠れていない)部屋に移動することになっているそうです。

私は個室を希望してまして、個室が空いてましたので無事にそっちに落ち着けました。これ、出産が立て込んでいると、個室が全部ふさがっちゃって、相部屋になることもあるそうな。しかし、相部屋っていっても、二人部屋で、非常に広くて(分娩室の2倍くらいの広さがあった……日本だったら、確実にベッド6台くらい入れるだろう、と思われる広さ)間はカーテンで区切られてて、けっこうそっちでもよかったかと、入院してから思いました。個室は狭かったんだよね……

あ、バスルームは各部屋にそれぞれついてるんですわ。さすがアメリカ(おまけに書くと、分娩室にもちゃんとバスルームが付いてました。麻酔をしない人は、陣痛乗り切りのために、シャワーを浴びるとか、お湯に浸かるっていう人もいるんですが、そういうことが出来るのも、こうやって専用のバスルームがあるからですね)。だから、個室の場合は自分専用のバスルームがあるわけで、相部屋になると同じ部屋の人とシェアする事になるわけです。産後はお下の方が色々あるんで、一人でゆっくりバスルーム使える(そして、ベッドからバスルームに行く間、情けないカッコでも恥ずかしくない)というのもなかなかポイント高いんですが。

回復室(個室)の様子は、分娩室の1/3くらいの広さに、ベッドとテレビと、背もたれが倒れるソファーが一つ、という感じ。相部屋は、単に個室の2倍の広さになっているところを二人で使うんだとばかり思ってたら、のぞいて見たらあまりの広さにびっくり。分娩室でも広くて、カウチみたいなのもあって、外から来た人もそこですわって落着けるようになっていた(ので、麻酔科医のお弟子さん二人とあれっくすは、そこで寛いで話をしていたわけで)ほどだいうのに、個室狭すぎ!の印象強し。広さを取るか、専用バスルームを取るか……うーむ、最初はやっぱり勝手が分からなくて不安も多かったので個室でよかったなあ、と今は思うけど、二人目を同じ病院で産むとしたら、相部屋希望するな、きっと……

さて、分娩室から回復室に来たときの道程ですが、車イスに乗せられて、でした。分娩室でのんびり8時頃まで休んでいると、初めて見る見習い風のナースが分娩室にやって来まして、「ここから、回復室の方に移動してもらうことになります」と言われて、その人に連れていかれてわけなんですが。

「ベッドから立ち上がって、こちらの車イスに乗って下さい」と言われて、ベッドから立ち上がりました。麻酔がまだちょっと残っているらしく、足下おぼつかないんですが、とにかくベッドから降りて車イスに乗ろうとすると、足の間からなんか液体がバシャーって出てくるんですよ。

で、「なんか出てますけどー」と見習いナースに訴えると、「あ、きっと当てておいた氷が溶けたやつでしょう」って言うんですよね。そうそう、お股を縫った後、ゴム袋に氷を入れて、ガーゼで周りを巻いたやつをお股に当てられたんですわ。おばあちゃんナースによると、「縫ったところは後で腫れてきて痛くなるので、こうやって氷で冷やしておくのだ」そうです。しばらくは麻酔が効いているので、縫った後の痛みが分からないそうですが、麻酔が切れてくるとひっじょうに痛くなるそうで(←これも怖いですな)、その時のためにこうやって最初から氷で冷やしておくといいんですよ、とのこと。

こういうのって、日本でもするんだろうか?縫った傷口にガーゼ越しとは言えいきなり氷当てるなんて乱暴じゃないのか?なんて思いながら当てられたんですが、どっちにしろお股は麻酔で感覚がないんで、冷やされてるのかどうかもよく分からないし、そのうち氷当ててたこと忘れちゃったんですよね。

だから、立ち上がったときに液体が出てきたのを「氷が溶けたやつだ」と言われたら、あ、そうか、そういうのしてたもんな、って思いだして不審には思わなかったんですな。それに、車イスにすわったら液体の流出も止まったし。「こぼれた水は後で拭いとくから、気にしなくていいですよ」と言われたので、ほうかほうか、と、車イスに乗って分娩室を後にしました。

で、回復室に着いて「それじゃあ、車イスから降りて、ベッドの上に上がって下さい」と見習いナース言われて、もう一度立ち上がったところ、その「氷が溶けたらしき水」が、またバシャ〜〜っと……さっきかなりこぼれたってのに、また?大体、氷の袋なんてちっちゃいもので、そんなに量があるわけがありません。大体こぼれ方も、バシャーじゃなくて、「ジョロンジョロンジョロンジョロン」ってな感じで、その独特のリズムを見て、私は気が付いてしまいました。

「あのぉ……この水、恐らくおしっこじゃないかと思うのですが……」

がーん。そうだったのでした。歩けるくらいに麻酔が切れかけているというのに、なぜか膀胱近辺にはまだ麻酔が残っていたのか、尿意が全くなかったので気が付かなかったのですが、分娩前に尿を出してもらってから実に4時間以上、点滴を続けていたわけで、普通に計算すれば、カテーテルで採取した尿と同じくらいの尿が膀胱に溜まってたんですな。確か、採尿したあの尿は2リットルくらいありそうに見えたんですが。ほいで、分娩をしたために、括約筋が一時的にバカになっているらしく、おしっこを溜めとくことが出来ずに、立ち上がるという姿勢を取ると、膀胱からまっすぐになったチューブ(尿道)を伝って溜まった液体が重力の法則のままに出てくる、という仕組みになっていたらしく。

よくあることなら見習いナースも事前にそれを察知して、最初に水(?)が出たときにそれと分かっただろうですので、きっとこうやって「おしっこ漏らし」をしてしまったのは余り例がないのでありましょう。見習いナースは慌てて助っ人を頼みに隣のナースステーションに行ってしまい、私は「あ、あの〜……」と言いつつベッドの横に立ち尽くして放尿をしていたのでありました……やはり見習いか、経験が足りんのぉ、助っ人を呼びに行く前に、私を何とかせんかい!って思いつつ……

麻酔の後なので、シャカシャカ歩くなんてとんでもないですので、バスルームに一人で行くなんて事も出来ずに、取りあえずベッドの柵につかまりながら、車イスまでふらふらと近付き、何とか座席に座って尿道を曲げることによって尿を一時停止させ、助けが来るのを待つ私。すると、婦長さん風の怖そうなナースが来て「あなた?お漏らししたっての?」なんて事を言われてしまう私。そ、そんなー。やりたくてやったわけじゃないんすよ!私のコントロールできないところで勝手に出てくるわけで!私のせいじゃなくて、ま、麻酔のせいなんだぁ〜〜!

と、ここまで来て思った私。チャイルドバースクラスで麻酔のメリット・デメリットなんかの話を聞いたりして、それで麻酔を打つことを選択し、今の今まで「麻酔を打つのが一番さ!」と思い込んでいた私は、一つのことを学んだのでありました。

麻酔を打つと、出産後に人前でお漏らしをする危険があるというデメリットがあり……と……。

取りあえず婦長さんナースにトイレまで連れていってもらって(もちろん、じょろじょろ漏らしながら歩く私。だから何を言われても、私の方ではコントロールできないんだってば)、残りの尿を排出したのでありますが、外であれだけ漏らしたにもかかわらず、ま〜、一体どのくらい入ってたんじゃ?というくらい出ました。点滴ってのはすごいんですなあ。打った分そのまま尿に出るんじゃないかという気がしますわあ。

婦長さんナースに「出産後のトイレは、一回目はナースが付き添って色々サポートと説明をすることになっていたんですが、あなたはもう出しちゃってますから、ここから説明しますね」と、開けっ放しのトイレの向こうから声をかけられて、何だか情けない気分の私。

取りあえず、あの後ろ半身丸見えガウンも新しいのをもらって着替え、さらにが悪露(おろ:出産後に子宮から出血するんですけど、それが生理のように出てくるわけです)が出るので、象のおむつのような巨大なパッドを当て、病院から支給される網パンツをはきます。

ヒトリゴト:↑文章で書くと簡単そうですが、足はまだ麻酔が残っているようでふらついてて、トイレの床にしりもちつくし、お股の縫ったところは麻酔が切れかけて何となくじんじんしてくるし、オロは経血と違って真っ赤なフレッシュ血液が大量に出てびびるし、そんな状態で、せめてトイレの床を汚した分は自分で拭こうかと無理な姿勢を取って立ち上がれなくなるしで、ほんとにヨレヨレの他人には見せられない姿のぱたでありました。あー、あの時が一番悲しかったかなぁ、ぱたの出産経験の中で。

日本では「産褥ショーツやT字体を持参しましょう。」っていうふうに妊娠本にありましたけど、アメリカではそういうのは妊婦が持っていかなくても病院から支給されるようですな。なので、わざわざ日本から送ってもらった産褥ショーツなんかを持っていく必要はなかったようです。それに、日本の産褥ショーツは「産んだ後しばらくは、悪露用パッドはベッドの上で看護婦さんに替えてもらいますので、看護婦さんが替えやすいように」股のところがスナップ止めで外せるようになってたりしますが、アメリカでは自分でトイレにてパッドを替えさせられるようなので、股のところがスナップになっている必要は全くなく。日本製産褥ショーツは無用の長物でしたな……

あと、アメリカの病院で支給される網パンツってのは、非常に履き心地よいんですわ。しかも締めつけないし、通気性は抜群だし(網だから)、洗ってもすぐ乾くし、ああいうの日本でも使えばいいのにとほんとに思いました。何でも「日本製の方がいいな」と思いがちなぱたですが、網パンツについてはアメリカに軍配。退院時に3枚ほど余分にもらってきて、産後2〜3週間くらい愛用してましたし。ほんとに。

で、トイレで婦長さんナースに説明を受けながらお股ケア(笑)をしているうちに、見習いナースさんたちが、私が粗相した床を拭いてくれたようで、すっきりしてトイレから出ると部屋はきれいになっておりました。ここまで来て、やっとベッドに落ち着いたぱたが、時計を見ると9時近くだった、というわけでした。

しっかし、この間、ずっとあれっくすがいなくて私は一人で非常〜に!心細い思いをしたのであったぞ〜〜、あれっくす!彼はですねえ、実に3時間以上も、文字通り時を忘れてチビぱたの「体洗い」や「体重身長測定」、「その他色々の医療処置」「その後クリブの中に寝かされて平和に寝ている顔」を眺めていたそうですわ。

分娩室に置いてきた沢山の荷物の行方が気になったので、ナースにそれについて聞いてみたところ、持ってきてくれるとのこと(それにしても、それってあれっくすの仕事なのにぃ〜。書きながら腹が立ってきた私。笑)。「すいません、色々お手数かけちゃって……」と妙に恐縮するぱたであります。よく考えれば、分娩室にいたときは、入院用の荷物なんて一つも必要じゃなかったわけですから、分娩室→回復室、と荷物をそのまま移動しただけだったわけで、またしても「入院道具は、回復室に移ってから持ってきてもらえば十分」という教訓を得たのでありました。それにしても、荷物を持ってきたナース曰く、「あなた、家ごと病院に引っ越してきたの?(笑)」まあ、確かに、2泊の荷物にしてはでかかったですが……←陣痛乗り切りグッズや、産褥関係の下着&日本のお産パッドなど(これらは、病院でもらう分で十分でした)が色々入ってたせいなんだぁ〜!ああ役立たず……

そのあと、「夕飯時間はもう終ってるのでレギュラーの夕食は出せないけど、サンドイッチとケーキくらいならあるから、それ持ってきますね〜」と見習いナースに持ってきてもらったのですが、どちらもコッテリな感じで、大仕事を終えたばかりのぱたの胃は「う」となってしまい、沢山食べられませんでした。

午後9時過ぎ。

やっと人心地着いて(お股にも新しい氷を当ててもらい。ははは)ベッドで寛いでいたところ、チャイルドバースクラスのビデオでも、TLCのベイビーストーリーでもよく見るシーン、「新ダディがクリブを転がして、産まれたばかりの赤ちゃんを新マミィのところに運んでくる」が目の前で展開されました。そう、あれっくすが顔中笑顔にして、チビぱたを運んできたのであります。

おぉぉ〜!もうチビぱたと一緒にいて、顔を見られるのね!すげぇ!と思いながら、「あ〜!いらっしゃ〜い!」と私も“こんにっちわぁ〜、あっかちゃん♪”な気分でお出迎え。うへへ、なんかお約束通り、って感じ。

産んだ直後に思った「ガッツ石松」なチビぱたは、洗われて白いTシャツを着てブランケットにくるまれていても、やっぱり「ガッツ」でした。でもまあ、新生児ってのはソモソモそういうものかもしれん、チビぱたがガッツ石松に似ているのではなく、ガッツ石松が産まれたばかりの新生児っぽい顔立ちをしているだけなのだろう、と気を取り直して、息を殺してクリブの中をもっとよくのぞき込もうと思ったら。

あれっくすの後ろから着いてきた、あの怖い婦長さん風のナースが、カルテを見ながら「あなた、母乳育児希望だったわよね」と私に確認するんですわ。そう言えば、陣痛中にそういうことを質問されて、「母乳なんて出るかどうか今の時点じゃ全然分からんのに、こんなことを今から聞くんか?」と思いつつ、母乳希望、みたいな事を言ったかもしれん……と思いだしました。

そしたらですね、「そうですか。ほいじゃ、今からお乳やって下さい」といって、クリブから生まれたてほやほやの、湯気の上がりそうなチビぱたを出して、私に押し付けるではありませんか。いやあ、チビぱたってば、ほにゃほにゃで、なんか今にも壊れそうなくらい小さいんですよ。そんなのを、「ハイ、あなたおっぱい出して」と、けっこう乱暴に(と、当時の私の目には見えた)私の胸に押し付けてくる婦長さん風ナースに、私は非常に戸惑いました。

大体、私は妊娠中にちょっと胸は大きくなったものの、よく人の言う「2サイズに2カップは大きくなる」というほどの成長はみられなかったんですよね。それから、「妊娠中にちょっと母乳が出た」という経験をした人も多いみたいですが、私は遂にそういうことはありませんでしたし。だから、もしやして、私は母乳が出ないタイプなのかも?なんて思ってたりしたんですよ。

日本ならば、妊娠中からおっぱいケアをやったり、出産の後の入院中にも母乳指導とかがあって、看護婦さんに出るようにマッサージしてもらったり、乳管を貫通させるための何とかをやってもらったり、なんて色々あるそうじゃないですか。でも、こっちではそう言うのがあるなんて話は一つも聞いてないし(産むまで母乳関係はなんの準備もしなかった私)、だったら私は母乳が出ないまま終るのかも……なんて思ったりして、だからそれもあって、入院の時に聞かれたときに「母乳希望」ってストレートに言えなかったんですよねー。

なので、そんな産まれて3時間ちょいの幼子を抱いて、出ないおっぱいを吸わせるのか?と不安になり、ナースに「さっき産まれたばっかりなのに?私もおっぱい出るかどうか分からないし……」とすがるように訴えてみました。ほんでも全くお構いなしの顔で、「産まれたばかりだから吸わせるんですよ。出ても出なくても構わないんです、とにかく吸わせて下さい」と言うんですわ。

えええ〜。と思いつつ、見様見まねでチビぱたを横抱きにして、おっぱいに吸い付かせようと思うのですが、もちろん私はもちろん、チビぱたにしたって当然初めての経験だし、何だかうまく行かないんですわ。そしたらですね、ナースがチビぱたの頭をグワ!とつかんで、ぐいぐい!と私の胸にチビぱたの口を押し付けて、無理やり口の中に乳首を入れてしまいました。ひゃー!そんな乱暴に新生児を扱ってもいいのか?!大体、そんなことしても、チビぱたは困るだけだろう!さっき生まれたばかりで、こいつだってきっと休みたいと思っているだろうに……(だから、チビぱたがこの部屋に連れてこられても、大人は周りでおとなしく寝顔を見るだけなのだとばかり思っていた)と、私はハラハラして「このナース、実はヤな人なのか?」とまで思ってしまったりして。

ところが、口に乳首を入れられたチビぱたは、ちゅ、ちゅ、ちゅ〜!と力強く吸うではありませんか。ひょえ〜!誰にも教わってないのに、恐るべき本能!私もあなたもほ乳類なのね!動物ってすごい!と感動しました、ほんとに。まあ、そういやハムスターも子ハムは産まれたらすぐに母親ハムのおっぱい吸ってましたわ。こういうのってちゃんとプログラムされてるんですなあ。

でもまあ、吸われても私の乳からは何も出ないであろう事は、私が一番よく知っているわけで、「おっぱい出なくても平気なんですか?絶対出てないと思うんですが。最初はフォーミュラをあげたりしないんでしょうか……(日本で言うミルクのことです。日本はそうするんですよね?)」ともう一度聞いてみると「おっぱいって言うのは、赤ちゃんに吸われることによって刺激を受けて出てくるもんなんです。だから、最初は何も出ないので普通だし、吸われてればそのうち初乳が出てきますし、追って母乳も出てくるようになりますよ」とのこと。

あ、ちなみに初乳って英語では「Colostrum」って言うそうです。最初ナースに、“コロストルム”が出てくるから……と言われて、なんじゃぁ?おっぱいから「殺すとロム」が出てくるんか?と思ったですよ、私。日本語で初乳って言うから、英語でも「ファーストミルク」とか、それっぽい単語かと思ってたら、何だかとてつもない言い方なんですな。うっかり分からなくなるところでした。

まめちしき
初乳:おっぱいが出始めるときに、最初に出てくる黄色っぽいとろっとした液体で、免疫成分などが豊富に含まれているらしい。“チチ一番搾り”みたいなもんでしょうかねえ。それは数日に渡り出てくるようで、母乳が出始めてもしばらくは母乳に混ざって出てくるようです。ぱたも最初の1週間くらい、黄色っぽいおっぱいが出ていましたので、しばらく出続けていたようです。

それにしても、何も出てないであろう乳を一生懸命吸うチビぱたと、「ほんとにこんなんでいいのか?」と半信半疑になりながら吸われるぱたの図は、またもやあれっくすに命令してデジカメに沢山収めてもらったのでありました。それにしても、そこで撮った写真で、けっこうチビぱたが良く写っているのがあったらしいのですが、もれなく私の「紫に変色した乳首」も一緒に写っていたそうで、とてもじゃないけど、お友達や家族にお知らせするメールに添付することが出来なかったそうであります。私の乳が写っていないチビぱた写真は2枚しかなかったそうで。

あれっくすから「生まれました」のメールをもらった皆さま、あそこに添付されていたチビぱたの写真が、鼻の穴全開で半分白目になっている心霊写真も真っ青のコワイものだったのは、こういう理由からだったのであります、と言い訳をここで(笑)。

しかし、産んだ後はゆっくり休めるとばかり思っていたぱただったのですが、自分の粗相のお掃除をしてみたり、お股ケアを習ったり、ローストビーフサンドイッチ&こってりクリームケーキを食べたり、チビぱたに乳を吸われてみたり、チビぱたのおむつの替え方を婦長ナースに教えてもらったり、アパートで待機していたぱた母を呼んでチビぱたを見せたり(そして、ぱた母には梅干しの入ったゆかりのオニギリを作ってもらって持ってきてもらった。うーむ、やはり日本人なので、ローストビーフとコークよりもオニギリにお茶!が食べたかったのであります)、あったことをまたつぶさにメモにつけてみたり、何だかんだしているうちにあっというまに日付が変わってしまったのでありました。やっぱり、分娩室で寝とくべきだったのですな……

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